スティングが語る「多様性」と「好奇心」 多彩なアーティストとのコラボ作『デュエッツ』を聴く

デュエット相手から得た学び

一方、ダニー・グローヴァーとメル・ギブソン主演映画『リーサル・ウェポン3』のために書かれた、マッチョで男らしい二人の“相棒ソング”「イッツ・プロバブリー・ミー」では、エリック・クラプトンともデュエットを実現させている。この曲は、スティングの5枚目のアルバム『テン・サマナーズ・テイルズ』(1993年)にも別ヴァージョンで収録されている(1998年の『フィールズ・オブ・ゴールド~ベスト・オブ・スティング 1984-1994』に再録)。

また、『ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月』に使用された「ウィル・ビー・トゥゲザー」は、アニー・レノックス(元ユーリズミックス)とのツアーから生まれた曲だ。アニーとスティングは1977年以来の友人であり、活動初期もよく対バンをしていたそうだ。

「お互い音楽活動を始めたのが同じ頃だった。彼女はツーリスツというバンド、僕はポリス。よく当時は一緒のライヴをやっていたよ。彼女はスコットランド海岸沿いの出身で、僕の故郷ニューカッスルから北にちょっと上がったところ。だから共通する所が多いんだ。受けてきた教育も、世の中のことや人権や女性の権利に対して強い関心があるところも似ている」



他にもハービー・ハンコックやシャギー、フリオ・イグレシアスなど豪華すぎるメンツが並ぶ本作。バッハの「プレリュード」をモチーフに、オリジナル曲として発展させた「ホェンエヴァー・アイ・セイ・ユア・ネーム」では、デュエット相手にメアリー・J.ブライジを指名。デュエット相手は、ときにスティングを次のレベルへと進化させることもあった。

「彼女のような並外れたシンガーに歌われることで、僕一人では叶わなかった何かがもたらされた。それはすべてのデュエット曲にもいえることだ。相手がもたらすものによって、曲は一段階レベルアップし、今度は僕がそれに見合うパフォーマンスをしなければならなくなる。自分一人の王国ではないということだね。誰かと分かち合い、願わくば何かを学ぼうとしている。実際、どの曲からもアーティストとして、一人の人間として、何かを学ばせてもらえたことをありがたく思っているよ」

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