米ポルノ業界、アジア系女優たちが苦悩する「差別」の実態

屈辱的な撮影はもうやらなくていい

だが業界内で大規模な経済変化が起きたことで、有色人種のクリエイター全員に明るい変化の兆しが表れている。この1年、COVID-19のおかげでパワーバランスはスタジオや大手制作会社から、OnlyFansのようなプラットフォームの独立系コンテンツクリエイターへと大きくシフトした。こうした地殻変動により、俳優やクリエイターは以前よりも主導権を握ることができ、スタジオに頼ることなくキャリアの道筋を描くことができるようになった――つまり、自分の作りたいコンテンツを自由に作れるようになったのだ。

「会社側に頼る必要はない、お金を稼ぐために会社の言うことを聞かなくてもいい、というのが分かってすごく解放されました」とクッシュさん。彼女はこの1年、安全上の理由から撮影を避け、主にOnlyFansで生計を立ててきた。「無理に着飾ったり、屈辱を受けたりするような撮影をやりたくないなら、もうやらなくていいんです。私も今はカスタマイズ動画を作っていますが、『気乗りしない』と言うにしても、会社に言うよりファンに言う方がずっと楽です。背負うものもそんなに多くありません」

ポルノ業界や世界全体がパンデミックの陰から少しずつ抜け出し、企業も通常営業を再開しつつある中、現在の風潮に昨今の力関係の変化も相まって、制作会社も疎外された人々の表現に配慮するようになるだろう、とクッシュさんは期待している。そうでなければ、俳優は思い切って声を上げ、きっちり線を引くべきだと彼女は言う。「結局は、ポルノ業界の同意の問題に行き着くんです」と本人。「気乗りしない服を着るのも、お尻に何かを入れるのも、『私はやりたくありません。他のやり方を考えませんか?』と言える状況であるべきです」

だが、状況を変える上でとばっちりを食うのが俳優ではあってはならない、とリュクスさんは言う。権力を持つ立場の人々――プロデューサー、監督、配給会社――が率先して変化を起こすべきだと。「結局のところ、すべては責任の所在の問題。疎外された人たちから金を稼いでいる人みんなが、誹謗中傷や暴言や搾取的行動をこれ以上許さない、助長しないってことが大事です」と彼女は言う。「変化は上から起こすべきだと思います」

【画像を見る】触る、舐める、挿れる、悪行三昧のポルノ男優

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE