ミック・ジャガーが激白、陰謀論者と反ワクチン派は「議論しても無駄」

トランプ前大統領の「その場しのぎ」

―2番の歌詞ではTikTokダンスやZoom会議、料理、暴飲暴食や断捨離について触れていますが、ロックダウン中の人々の行動を反映していると同時に、からかっているようにも取れますね。

ミック:1番では序盤がどれだけ恐ろしかったかを歌っている。どれだけ大勢の人が死んでいったかとか。衝撃的だった。政府の人間はみなたわごとばかり口にして、5分おきに考えを変える始末だ。イングランドではかなり混乱状態だったし、トランプ政権では奴はナンセンスなことばかり言っていた。首をかしげるようなことばかりだったのを覚えているかい? グラフだの数字だの。それで行き着いた先が今の状態。ようこそ、新作映画をバーチャルで見る世界へ。バーチャル・アートギャラリー、バーチャル・プレミア、バーチャル・コンサートの世界さ。

そのあと、長いロックダウンからさらにこういう経験を重ねていく。きれいな女の子を見ても、ワクチンを受けるまでは声もかけられない。それで、「自分磨き」をしなくちゃいけない、と感じて、時間つぶしにくだらないことにチャレンジする。みんな何かを始めようとしてただろう? やっきになって料理したり、ダンスしたり、他の言語を学んだり。

―あなたもパンデミック中は自分磨きをしましたか?

ミック:ぶっちゃけ、そうでもない。全くだ。もし俺が(嫌味っぽい声で)「ああもちろん。俺も前よりいい人間になったと断言できる。自分自身を振り返るいい機会だった」なんて言ったらバカみたいじゃないか。こういうことすべてを茶化してるのさ。他の言語を学ぼうとしたりとかそういうことをさ。

―2017年に「England Lost」と「Gotta Get a Grip」をリリースした際、あなたは「ころころ変わる政局への不安と不確かさ」について語り、「明らかに今は問題だらけだ。自分は政治的に楽観的か?……答えはノーだ」とも言っていました。あれから多少なりとも楽観的になりましたか?

ミック:アメリカでは物事を正しい方向へ導こうとする人もいるようだし、パンデミックを乗り越えて、なすべきことを理解する可能性が高まっているようだ。前政権はそうじゃなかった。来る日も来る日も、この先どうなるのかわからないまま過ごしていた。すべてにおいてプランが全くなかった。少なくとも現政権は長期的な目標や課題をはっきりわかっていると思う。全てうまくいくわけじゃないにしても、少なくとも努力はしている。アメリカに関しては、俺も去年の今頃よりずっと楽観的だね。

―たしかに。ここ数年、あなたはトランプ前大統領はとても好きになれないと明言していましたしね。

ミック:当たり前だ! 好きなもんか。(声を荒げて)奴は何もかも適当だったんだよ。いつだってその場しのぎだった。パンデミックはその場しのぎでは解決できない。そうするわけにはいかない。少なくともトランプは、ワクチンに関しては頑張った。それはいいことだ。金をたくさんかけて、その甲斐もあった。(アメリカとイギリスでは)政府がいろんな形で介入した。違いは、イギリスは最初のうちアメリカよりずっとうまくワクチン接種を実施したってことだ。バイデン政権になるまで、アメリカのワクチン計画は存在しないも同然だった。だがもちろん、どっちの国も他に大きな問題を抱えていて、経済は大打撃を受けている。抜け出すにはまだまだかかる。

Translated by Akiko Kato

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