反マスク・コロナ陰謀論者の右翼ミュージシャン、新型コロナに感染

テッド・ニュージェント(Photo by Gary Miller/Getty Images)

アメリカン・ハードロックの重鎮ギタリストで、トランプ前大統領を支持してきたテッド・ニュージェントが、4月19日にビデオ・メッセージをFacebookに投稿。新型コロナウイルスに感染したことを公表した。

過去数十年にわたり、テッド・ニュージェントの保守派としての過激な発言は物議を醸してきた。昨年はCovid-19の存在を否定することにエネルギーの大半を供給。そして72歳となったニュージェントは、自分がコロナウイルスに感染したことを認めた。

「みんなからは発表することに反対されたけど」と前置きしたあと、彼はFacebookの動画で「この10日間、風邪の症状が出ていた。…死ぬかと思った。とんでもない状態だった」と語っている。そこからいくつかの脱線を経て、彼は煮え切らない表現で要点をまとめてみせた。「今日、陽性反応が出た。『中国ウイルス』にかかったんだ。…頭は重く、身体中が痛くて、尻まで痛むんだ。ここ数日は文字どおり、ベッドから這い出ることもままならないだったが、なんとか抜け出すことができた…だから今日、正式にCovid-19の陽性反応が出たんだ」

そのあと、彼はビデオの残り9分間で、中国への罵倒、ある医師と言い争いになった話、コロナワクチンの成分への疑問、米大手枕メーカー「マイピロー」のマイク・リンデルCEO(トランプ前大統領の支持者)への賛辞などを述べている。

ニュージェントは全米ライフル協会の幹部を務め、動物愛護に反対し、オバマ大統領の存在を嘆き、コロナに関する反中国的な暴言を煽ったドナルド・トランプ前大統領を支持してきた。

Blabbermouthは昨年8月、ニュージェントが新型コロナを「(トランプ氏を)陥れるための左翼のでっち上げ」と表現していたと伝えている。彼は同じ声明の中で、政治家が新型コロナによる死亡者数を多くするために、他の死因で亡くなった人々の数も加えていると根拠なく非難していた。また、ニュージェントは以前からマスクの義務化を非難しており、ワクチンを接種するつもりもなかったという。今月初めには、アメリカで50万人以上がコロナで死亡しているという米国疾病予防管理センター(CDC)の報告に、何の根拠もなく異議を唱えていた。

4月19日現在、CDCの報告によると、56万4千人以上のアメリカ人が新型コロナで亡くなっている。ニュージェントのような65〜74歳のアメリカ人は、そのうち21.4%を占めている。

ニュージェントは別のFacebook動画で、「人生でこんなに具合が悪かったことはない」と語ったあと、このように続けている。「ベッドから這い出るのがやっとだった。俺は同情を求めているのではなく、世界的な医療緊急事態の中で、ニュージェント一族が、俺というギタリストが、コロナ陽性反応に打ち勝つために何をしているのか伝えたい。そして、そのためにも意志の力が必要なんだ」

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From Rolling Stone US.

Translated by Rolling Stone Japan

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