「ゾンビランドサガ リベンジ」の曲はなぜ熱いのか? 制作者が語る

ヴォーカル・ディレクションに影響を与えた「現実と物語の時間軸」

ー確かに、無機質な感じではあるけど、対照的にヴォーカルがすごく有機的だなと思いました。ヴォーカルのディレクションはどうだったんですか?

佐藤:前作の時にいろいろと話してるので、今回のリベンジ全般に関しては、歌い方みたいな部分はそんなに細かく言うことも特になくて。それよりもやっぱり、自身の体の成長においての声の変化をどこまで最小限に止めるかってところが割と苦労したというか。細かい話なのですが、20代の役者さんだと、3年経つと声の質感がどうしても変わる。更に作品の時間軸的には割とすぐなので、前作と比べてあまり歌が上手くなり過ぎてるのは変だよなとか(笑)。前作ではヴォーカルレコーディングの経験がなかったり自信がなかったりしていた役者さんも、今回は歌に関して劇的に成長してるので、そこを作品的にはどう抑えるかみたいな……。意識していないと聴き比べた時に全然違うものになってしまいそうで、なのでマイクやヘッドアンプのセッティングを変えたり、いろいろ細かく調整しました。

ー普通のアーティストだったら経験を重ねて進化した姿も魅力のひとつですが、今回の場合はあんまり進化しすぎても困る。

佐藤:そうですね、やっぱり現実と時間軸が違うので。

今福:令和元年頃の話なんですよね、いまだに。

佐藤:そうそう(笑)。しかも借金返そうとバイトしてるじゃないですか。その中でそんなに上手くなるのかっていう(笑)。体は鍛えられたかもしれないけど、数カ月でそこまで変化するとはやっぱり思えないから。












「ゾンビランドサガ リベンジ」第1話より(©ゾンビランドサガ リベンジ製作委員会)

ーキャストの皆さんも歌唱面で大きく成長されたんですね。

今福:6人それぞれ歌の経験がバラバラだったのですが、元の経験値が少なかった方に関しては特にそうだと思います。例えば、河瀬さん(河瀬茉希:紺野純子役)は前作の初期段階と現在とでは別人かと思うくらい上達された印象があります。当初はレコーディングと別にヴォーカルレッスンに参加していただいたりもしていたので。本作や他のご活動など含めて大きく上達された分、歌録りのチューニングは苦戦したんじゃないですかね。それにしても、フランシュシュはバイトしながらどこまで歌が上手くなるのか?とかまで細かく考えてくれるあたりが佐藤さんだよなって今、話を聞きながら思いました(笑)。

佐藤:あとみんな、前作の時と比べて本気度がすごいので。前作の時は割と、この作品どうなるのかな、みたいな匂いが多分あったと思うんです。作品の情報がほぼ何にもない中で歌って、この作品どうなるんだろう、この歌どうなっていくんだろう、みたいな迷いが。もちろん経験値が高い子達も、そんな気持ちだったと思うんですよね。で、それが前作を経て、ライブも経て、アルバム用の新曲も経て、からの今なので、もう向き合い方がすごく真剣だし一生懸命だし。だから彼女たちの中で明確に見えてるものがあると思うんです。そこを微妙に崩さなきゃいけないのが、とにかく心苦しいというか。もっと上手いテイクあったな、みたいな(笑)。あんまりそういう現場もないかもしれないですね。

・第1話挿入歌『REVENGE』


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