ガンズ・アンド・ローゼズ結成秘話 アクセル・ローズを巡る当事者たちの証言

アクセル・ローズとの最初の出会い

イジー・ストラドリン(Ba/シャイアー、Gt/ハリウッド・ローズ、ガンズ・アンド・ローゼズ):アクセルの存在を知ったのは、これはまだお互いが知り合う前だけど、8年生か9年生の登校初日だった。俺が席に座っていると、前の方から騒ぎ声が聞こえてきた。怒鳴り声と一緒に教科書が飛んできて、取っ組み合いになっていた。騒ぎの張本人がアクセルで、奴は教師をドアへ突き飛ばすと廊下へ飛び出して行った。その後を、教師連中が束になって追いかけて行ったよ。それがアクセルとの最初の出会いだ。忘れられない思い出さ。

トレイシー・ガンズ(Gt/ガンズ・アンド・ローゼズ、L.A.ガンズ):イジーに盛んに言われていたんだ。「俺の友だちのアクセルに会った方がいい」ってね。ああ、その当時は「ビル」って呼んでいたけれどね。「きっと馬が合うと思う。奴のシャウトはお前好みだからさ。ナザレスをコピっているんだ」と、繰り返していた。俺は「ナザレスか。いいね!」って答えたのさ。

イジー・ストラドリン:カリフォルニアへ来たのは17歳の時だった。俺はフロリダで育って、母親とインディアナ州のラファイエットへ引っ越した。遊び半分にドラムを叩いていた頃にアクセルと出会って、つるむようになった。他にすることもなかったから、一緒にバンドを組もうって話になった。でも時代と場所が悪かったな。周りの連中も女たちも、いわゆる退廃ってやつさ。女の子らは、ギグにどんな格好をしていけばいいかもわからない状態だった。成功しそうな雰囲気はまるでなかったよ。アクセルも俺も、ハードでラウドなビートが気に入っていた。そこに共通点があったから、俺たちはどうにかやって来れたんだろうな。

トレイシー・ガンズ:ルーズヴェルト・ホテルへシャイアーのステージを観に行ったら、新しいベーシストとしてイジーが弾いていたんだ。レザージャケットを着て、白のカウボーイブーツを履いていた。髪も黒く染めていたな。こいつセンスあるな、と思ったよ。それに奴がモトリー・クルーのファンだってこともわかった。だからステージが終わるとすぐに奴のところへ行って、「ヘイ、俺はトレイシーって言うんだ」と声を掛けた。奴も「イジーだ」と返して、それからは「オーケー、俺たちは仲間だ!」って感じさ。

ビリー・ロウ(Gt/ジェットボーイ):ジェットボーイがロサンゼルスで活動し始めたのは1983年のこと。俺はまだ高校生だった。女友だちの中にW.A.S.P.の大ファンがいた。まだデビューアルバムが出る前だった。ある時、彼女に付き合ってW.A.S.P.のサンフランシスコでの初ライブをトルバドールへ観に行くと、クラブの外にパンクスタイルのクールな奴が立っていた。全身黒づくめでクリーパーズを履き、ピンクでスプレーして靴用クリームでピカピカにした黒いレザージャケットを羽織っていた。正に俺がお気に入りのハノイ・ロックスそのものだった。それがイジーだった。それから俺たちは知り合いになって、クリス(・ウェバー)の両親の家に入り浸るようになったのさ。

クリス・ウェバー(Gt/ハリウッド・ローズ):俺がイジーを家に連れて行った。俺の母親は、彼を「ジェフ」と呼んでいたな。それから俺たちは一緒に曲を作り始めた。いつかはよく覚えていないが、ちょうど(エアロスミスの1982年作)『Rock in a Hard Place』が出た頃だ。「Jailbait」にインスパイアされて「Anything Goes」(元々はハリウッド・ローズの楽曲で、後にガンズ・アンド・ローゼズのアルバムに収録された)を書いたから、よく覚えてる。最初の頃、俺とイジーはよくエアロスミスも聴いていた。


ハリウッド・ローズのライブ、1984年撮影(Photo by Marc S Canter/Michael Ochs Archives/Getty Images)

ビリー・ロウ:イジーはよく、アクセプトのアルバム『Restless and Wild』も聴いていたな。「Fast as a Shark」なんかを聴いてみると、ハリウッド・ローズとガンズ・アンド・ローゼズの「Reckless Life」に通じるものがあるのがわかるだろう。アクセルは正に、ウド(・ダークシュナイダー:アクセプトのヴォーカリスト)の雰囲気を持っているし。この話は初耳だろう。

クリス・ウェバー:とにかく何曲か一緒に作った頃、イジーが「ヴォーカルをやってる友だちがいて、奴に歌わせてみたい」って言うんだ。そうして現れた「ビリー・ベイリー」が、後に俺たちのヴォーカリストになるのさ。

Translated by Smokva Tokyo

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