大滝詠一『NIAGARA MOON』のニューオーリンズ解釈 鳥居直道が徹底考察

「Lipstick Traces」といえば、スヌークス・イーグリン版も見逃すわけにはいきません。イーグリンは人間ジュークボックスという異名を持つニューオーリンズ生まれのシンガー兼ギタリストです。若き日のアラン・トゥーサンが結成したローカル・バンド、フラミンゴスに参加していました。ディクシー・カップスやドクター・ジョンの「Iko Iko」の原曲であるジェイムズ・”シュガー・ボーイ”・クロフォードの「Jock-o-Mo」で聴くことができる歪んだギターのカッティングは彼の演奏したものです。プロフェッサー・ロングヘアの『House Party 』、『Mardi Gras in Baton Rouge』にも参加しています。

イーグリンはウィルコと同じく、ピックを使わず爪でジャキジャキとピッキングするギタリストです。そしてとにかくキレがすごい。右手を一気にグーからパーへと開いて鋭くジャキンと弦を鳴らしています。歪んだギターをジャキジャキと弾くギタリストが好きだという人はぐっとくること請け合いです。

フィールグッドとニューオーリンズということでいえば、ヒューイ・”ピアノ"・スミス&ヒズ・クラウンズの「Don’t You Just Know It」を2ndの『Malpractice』でカバーしています。コーラスの掛け合いが楽しい曲です。原曲のほうは、昔「爆笑問題のバク天!」というテレビ番組で使われていたのでご存知の方も多いかもしれません。ドクター・ジョンも『Gumbo』の「Huey Smith Medley」で取り上げています。フィールグッドのほうは、そこはかとなくハネたリズム、細野晴臣いうところの「オッチャンのリズム」で演奏しています。

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