大槻ケンヂ×眉村ちあき 吉田豪と語る「楽しそうな時代」と「コロナ禍の日々」

眉村ちあき、大槻ケンヂ、吉田豪(左上から時計回り)

大槻ケンヂ率いるバンド、特撮のニューアルバム『エレクトリック ジェリーフィッシュ』のリリースを記念して、大槻と眉村ちあきの対談が実現。プロインタビュアーの吉田豪を聞き手に、音楽から格闘技まで語り合ってもらった(※取材はZoomで実施)。



大槻:眉村ちゃん、武道館でのライブお疲れ様でした。

眉村:あれからもう4カ月も経ってしまいました。

―大槻さんは武道館公演の先輩ですからね。

大槻:だから逆に羨ましいなと思って。僕は筋肉少女帯でデビューしてから3、4年目で日本武道館をやったんだけど、武道館幻想みたいなものがあまりなくて。

眉村:私もあまりなかった。

大槻:本当に? 僕らの頃にはチープ・トリックの「at武道館」とか、それより前だとディープ・パープルとか外国のミュージシャンが日本武道館でやってブレイクして、武道館神話みたいなのがあって。

―海外の大物が武道館のライブ盤を出したりしたのもあって、ミュージシャンの憧れの場所になってたんですよね。

大槻:そうそう。でも僕は武道館には主にプロレスを観に行っていたので、1番の思い出は高田伸彦が北尾(光司)を倒して蹴ったノックアウトシーンとか(笑)。あと亡くなった三沢光晴がタイガーマスクを脱いだのも武道館だったね。

―あれは東京体育館ですかね……という、眉村さんにはサッパリ分からない話(笑)。

大槻:ハハハハ! 眉村さんは自分でライブする前に武道館に行ったことはあるんですか?

眉村:ぱいぱいでか美さんに、モーニング娘。さんの武道館ライブに連れて行ってもらったことがあります。「ちあきちゃんはいつかここでやるから見ときな」って言ってくれて。その2年後くらいに武道館でやれたので、でか美さんにちょー感謝してます。あと、でんぱ組.incのねむきゅんさんの卒業ライブ1日目も見に行かせてもらいました。TOY’S FACTORYの先輩なので。

大槻:でんぱ組.incもTOY’S FACTORYだもんね。

―大槻さんもトイズの大先輩ですよ!

眉村:トイズの1期生ですよね?

大槻:1期生(笑)。1988年に筋肉少女帯とTHE RYDERS、JUN SKY WALKER(S)という3バンドで始まって。その数年後に、ミスチルがトイズに入ってきたんです。

眉村:レッドクロスで大槻さんとライブをやらせてもらった時に、ミスチルの桜井さんと楽屋で喋った話をしてくれたじゃないですか。野音でトイズのアーティストだけ出演するイベントに出た時、「『大槻さん、僕もうこれ以上大きい会場、大きな景色を見れない気がします』みたいなことを桜井さんが言ってたんだよね、あれ以上のものしかあの子は見てないけど」って言い残してステージに行ったのが面白かったです(笑)。

大槻:ちあきちゃんにはミスチル的なものというか、その後ブレイクする人の感じをものすごく感じるんですよ。豪ちゃんと杉作(J太郎)さんのイベントに出てる映像を見た時が最初かな。

―DOMMUNEですかね(2018年放映)。その番組で杉作さんが安藤昇さんの曲をかけたんですよ。そしたら眉村さんが感銘を受けて、「今度安藤昇さんに対バン申し込もう!」って言っていて、発想が自由すぎてすごいなーって。安藤さんはそもそも亡くなってるのに(笑)。

大槻:「男が死んで行く時に」かな(笑)? 安藤昇と眉村ちあきの対バンがあったら、それは行きますよ。

眉村:あはははは(笑)。

大槻:武道館の話に戻るんだけど、あれは有観客だったんでしょ?

眉村:コロナ禍なのでお客さんは半分だったんですよ。なので、武道館を埋めたぜ!とは言えないから世の中が戻ったらもう1回リベンジしたいです。

大槻:僕が最初に武道館をやったのが、PILっていう海外バンドの前座だったんですよ(1989年)。

―セックス・ピストルズのボーカルの人が次にやったバンドです。

大槻:ジョン・ライドンさんのね。



眉村:へえー。やってよって言われたんですか?

大槻:それがイベンターさんと事務所が勝手に決めちゃって。ジョン・ライドンのファンは筋肉少女帯なんて絶対好きじゃないし、筋肉少女帯のファンもPILなんか絶対に知らないからって言ったんだけど。

―謎の組み合わせで、当時は誰もが戸惑ったんですよ。

眉村:組み合わせたがるイベンターさんっていますよね。変な組み合わせ、他にもやったことありますか?

大槻:えーとね、吉田栄作さんと爆風スランプと筋肉少女帯だったっけかな……? 色々あったなあ。BABYMETALと筋肉少女帯とかね。

眉村:そうなんだ!

大槻:BABYMETALが唯一対バンした日本のバンドは筋肉少女帯だけなんですよ、その後売れちゃったから。その後はメタリカとかだもんね。

―世界的なバンドになっちゃいましたもんね。

大槻:あの頃はまだ女の子たちだったし、お正月だったので3人にお年玉あげたの。

眉村:可愛い! 私、イベントの対バンが全員9歳とか10歳だったことがあります。5~6組出てたんですけど、私以外はみんな子供(笑)。

大槻:なにそれ(笑)。あと変なのあったかなあ。あ、空手バカボンっていうユニットをやってた頃に、銀座の野外イベントに出ることになって。2000人集まる予定だったのに、お客さんがゼロだったことがあった(笑)。

眉村:なんで⁉︎

大槻:分かんない、パンダの着ぐるみと子供が遊んでるだけだった。トランザムっていう当時コカ・コーラのCMを歌ってたバンドも出たんだよね。俺たちは当時高校生だったからいいけど、トランザムがかわいそうだった……何の話だっけ、これ?(笑)。

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