「ゾンビランドサガ リベンジ」の音楽はなぜユニークなのか? 制作者が裏側を語る

海の匂いを感じながら作った一曲

ー自分の中にあるものを自然に出せたと。

山下:そうですね。僕と佐藤の間では、二往復ぐらいでできたかなって。これは余談ですけど、この曲はちょうど去年の夏頃に作った曲で、自分の引っ越しの時期と制作の時期が被ってたんです。引っ越した先のまだ何もないダンボールだらけの部屋で、パソコンとちっちゃいミニ鍵盤とアコースティック・ギターっていうコンパクトなセットで一気に作ったんですよ。

佐藤:前住んでたところより海に近づいたので、海の匂いを感じながら(笑)。

山下:劇中で巽 幸太郎があの屋敷でやってる作曲スタイルではないけど、ただなんかちょっと幸太郎の気分かもな、とか思いながら。

佐藤:どういうこと?全然よくわからない(笑)。

一同:(笑)。

ー山下さんは曲を作る時はギターからですか?

山下:いや、決まってはないですね。鍵盤の場合もあるし、鼻歌からの時もあるしで。この曲の場合は、どうだったのかな。鼻歌だったかもしれないです。多分、小学校時代を思い出しながら作ったと思いますね。

ー作品の制作サイドからのオーダーを、佐藤さんは山下さんにどのように伝えるんですか?

佐藤:オーダーにもよるんですけど、今回のエンディング曲に関しては、製作陣と話した「こういう曲だったら面白いな」って内容をそのままドン!と伝える感じでした。

山下:前回の記事を読んだ限りだと、多分オープニングの曲(「大河よ共に泣いてくれ」)とは相反する形だったんじゃないかなと想像しますね。



佐藤:そういう意味では僕からのオーダーは雑だったかもしれないですね(笑)。エンディングに関しては、細かく噛み砕いて話すようなことはせず、もうそのままそのものをズバリ、こういう曲を作りたいって。

山下:一個、今思い出したのは、フルサイズの曲の時、ラストのサビに向かうところでもうちょっと盛り上がりたいって、ブレイクが一小節ずつ増えていったところがそういえばあったなって(笑)。

佐藤:あったね。忘れてた(笑)。デフォルメされた90年代感なんですけど、あの頃の感じだったらブレイクはもうひと回し行くよね、って(笑)。

山下:あと付け加えるなら、スネアのことに触れていただけると。昨今なかなか使わないゲートリバーブというエフェクトの効果をふんだんに取り入れているので。吉田太郎さんという方に演奏していただいたんですけど、現場でも懐かしいね!って(笑)。

佐藤:ドラムのセットも、昔流行ったタムのシングルヘッド(裏面のヘッドを外した状態)にして頂いていて。ただこちらからはそうしてくださいとは言ってないんです(笑)。この方がいいんですよね?みたいな感じで、吉田氏が持ってきてくれて。

山下:自分もキャリアの中で、あそこまで極端にゲートリバーブをかけたことはなかったので、すごい楽しかったですね。エンジニアさんはもうずーっと「ゾンビランドサガ」をやってくださってる田中雄司さんなんですけど、こういうことでしょ?って、ギュン!バァァン!みたいな(笑)。

佐藤:(笑)そうね、昨今聞かない音だよね。

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