「ゾンビランドサガ リベンジ」の音楽はなぜユニークなのか? 制作者が裏側を語る

「50と4つの忘れ物」について

ー「夢を手に、戻れる場所もない日々を」ともう一曲、山下さんが携わってる曲では、第3話の挿入歌の「50と4つの忘れ物」があります。これもまたすごくいい曲ですよね。

佐藤:オーダーでこういうことがやりたいんですというものがあって、多分他の人にその話をしたら想定内のものになってしまう気がして。でも多分山下は、そうは言ってもそのままにはしてこないだろうなって思ったので、そういう部分でのチョイスはあったかなと思います。これをどうしたらそのままにならないようにするか、というふうに思った時に、山下に書いて貰おうっていうのが僕の中で出てきますね。



山下:忘れてたけど、デモでお蔵入りした曲が一曲ありましたね。

佐藤:あったね!今、表に出てる曲はデモの2曲目なんですよ。初めに書いた曲は、もう少し暗くしたいということでお蔵になってしまいました。

山下:あーそうか、そういうことだったのか。

今福:その節は…(苦)ただ、いつか何かしらの形で出したい気持ち、あります。

一同:(笑)

ー「50と4つの忘れ物」は、河瀬さん(河瀬茉希:紺野純子役)の声が強力なアクセントになってると思いますけど、河瀬さんが歌うことを想定して書かれたんですか?

山下:もちろんそうなんですけど、ただ、ああいう歌になって戻ってくるとは想像してなかったんですよね。歌録りに関しては佐藤がディレクションをやっているので、録ったものを作家さんに送って、それに対して自分が仕上げをしていく形になるんですね。で、この曲はテンポのグリッドに対してすごく後ろの歌が届いたわけですよ。この仕事ってキャリアを積んでくると、送られてきたデータを聴けば、スタジオでこんなやり取りがあったんだろうなとか、こんな雰囲気だったんだろうなということがなんとなく音から伝わってくるものなんですけど、彼女の歌データに関しては、これ、一体何があってこうなったんだ?って。

佐藤:(笑)

山下:去年の最後の仕事納めが、送られてきた「50と4つの忘れ物」の歌データに合わせててアコギを弾く、だったんですよ。順番としては、もともとデモで弾いていたものに対して彼女が歌ってくれて、さらに仕上げで俺がもう一回アコギを弾き直す。で、これってこういうことだよなぁ?って思って弾いたら、佐藤から「違う、もっとねっとりした歌にしたい」と。つまり俺が歌に合わせてしまったので、そこは逆に合わせなくてよかったんですね。それを受けて、仕事納めの日を1日延ばして、翌日弾き直して……。

佐藤:そうね、歌にギターが合わせにいっちゃったからね。演奏に対して後ろめに歌ってるのが良かったから、仮で弾いていたギターと同じぐらいの感じでもう一回弾いて、って言って弾き直してもらいました。

今福:ヴォーカルのキーを調整したことも影響していますかね。

佐藤:レコーディング時に元々用意していた状態からキーが下がったこともあって、よりそういう感じになったのかなと思います。

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