先人たちが切り開いた新境地
ー確かに。今だと海外の人たちも、アニメ作品をきっかけに音楽自体も聴いてくれるようになったりとか。
佐藤:ほんとに一つの音楽コンテンツとして、いわゆるアニメーションファンだけではなくて一般層に、ちゃんとそういうフィールドがあるんだよってことが認知された感じはしますよね。先人たちが頑張ってくださったおかげです。
山下:いやほんとに、そうだと思う。
ーアニメと音楽レーベルとの話ということで、今福さんから見た印象はいかがでしょうか。
今福:僕は佐藤さんたちと比べると業界キャリアが浅いので、10年以上前の環境を経験していないのですが、少なくとも5、6年前あたりの段階ではすでに、現在に近い良好な関係性だった印象はあるんですよね。音楽市場が硬直し始める中で、世界的にも評価の高い日本産のアニメコンテンツに新たな突破口を見出したいという気概をもったレーベル関係者は多かったです。タイアップ一つとっても、付け焼刃でやるとアニメファンの方々の期待に反してしまうので、真摯に作品に寄り添って共に制作が出来ている印象はその時からありました。
山下:ほんとにそこかもね。それより前は、ポーズ的にやっているのを、視聴者の方々に見透かされていたのかもしれないよね。
今福:逆にその部分が甘かった時代というのは、どんな感じだったのだろう、と。
佐藤:いやあ、結構、ボロカス言われてたよ。
今福:佐藤さんは両方またがってるから、より広く見渡せますよね。
佐藤:業界内で言う音プロと言うタイアップを取りにいく仕事もしてたから。ひどいところだと、「アニメの歌なんて歌って、うちになんかメリットあんの?」みたいなに言われたりしてたよ。
山下:作家もそれこそ、アニメに深く関わるともう「アニメ作家」って。
今福:そういう色がつくことを、良しとしづらい時代だったんですね。
佐藤:だからアニメ関係の曲は書きたくない、みたいな人もいた。
山下:そうそう。自分はポップスの人間だ、とか。
佐藤:ありがたいことに社内にはそういう人はいなかったんですけど、やっぱ外にはそういう方もいらっしゃって。アニソンとか別に興味ないし、みたいな。