ジャクソン・ブラウンが語る渾身の新曲、自身の後継者、ジェームス・テイラーとの共演

ジャクソン・ブラウン(Photo by NELS ISRAELSON)

ジャクソン・ブラウンのニューシングル「マイ・クリーヴランド・ハート」(My Cleveland Heart) のミュージック・ビデオが公開となった。7年ぶりのニューアルバムも控えている彼が、この曲に込めた想いとは?

ニューシングル「マイ・クリーヴランド・ハート」を引っ提げて、ジャクソン・ブラウンが帰ってきた。シングルとセットになったユーモラスなビデオには、フィービー・ブリジャーズがカメオ出演している。

ビデオは担架に乗せられてギターを弾くブラウンが、手術室へ運ばれるところから始まる。大勢が見守る中、手術台の上に乗せられた彼は人工心臓を移植される。そこへ白衣に身を包んだ人工フィービー・ブリジャーズが現れ、彼の心臓を食べる。


MVの監督を務めたアリッサ・トルヴィネンは以下の様にコメント。 「ジャクソンとコラボレーションできたことを光栄に思うわ。彼の創造性からはたくさんのインスピレーションをもらえる。音楽だけじゃなく、彼がエネルギーを注ぐこと全てから。台本は思いがけない形で出来上がった。そこに、フィービーが参加してくれたのは、嬉しいサプライズだったわ。ジャクソンの心臓を受け取り、袖から見守る彼女のショット……完璧なほどダークでポエティックで、まさにフィービーよ」

ベーシストのデイヴィー・ファラハー、ドラマーのピート・トーマス、ラップスティールのグレッグ・レイズなど、共演ミュージシャンもオペに関わっている。ブラウンとジェフ・ヤングの代わりにボーカルを担当しているのは、共同作曲者のヴァル・マッカラムだ。“決して壊れない/鼓動を鳴らすこともない/痛みも感じない/電源を入れれば輝く”

ブラウンが「マイ・クリーヴランド・ハート」に出会ったのは、マッカラムが彼の車のフロントグラスにメモ付きのCDを残したのがきっかけだった。ブラウンは何カ月も曲を聴いた末、オハイオ州クリーヴランドをドライブ中に偶然森で一軒の建物を見つけ、そこで歌詞のアイデアを思い付いた。「同乗していた奴が、『あれはクリーヴランドの心臓だな』って言ったんだ」とブラウンはローリングストーン誌に語った。「それで俺は『あそこで人工心臓を作ってるんだろう』と言った。『ああ、俺もひとつほしいもんだ!』ってね」

ブリジャーズが彼の心臓を受け取るのはまさにぴったり。影響を受けた人物としてブラウンを挙げ、最近では「Kyoto」で彼とデュエットした。さながらブラウンがシンガーソングライターの印籠を渡したかのようだ。「俺の使い物にならないボロボロの心臓を取り出して、フィービーに渡すのがふさわしいと思ったんだ」とジャクソン。「(心臓を)渡すのに、若くて頼もしく、そしてたぶん俺と同じくらいシニカルな人間以外は他にいないだろ?」



ニュー・アルバム『ダウンヒル・フロム・エヴリホェア』について、ブラウンは以下のようにコメント。「このアルバムを通じて、根底に流れるのはインクルージョン、すなわち、多様性を受け入れるという精神だ。それは自分とは異なる人々に心を開くことであり、この世界を理解するための、最も基本的な基盤なんだ」

「マイ・クリーヴランド・ハート」以前には、2曲のシングル「ア・リトル・スーン・トゥ・セイ」と「ダウンヒル・フロム・エヴリウェア」がリリースされている。後者は7月23日にリリース予定のニューアルバムのタイトルトラックだ。アルバムは昨年秋にリリースが予定されていたが、パンデミックにより延期されていた。

「パンデミックの最初の2~3カ月で、リリーススケジュールに大きな穴が開いてしまった」とブラウンは言う。「でも結局、出せるタイミングでリリースしかなかった。生活は変わらず続いているし、アルバムもリリースされるようになった。でも俺の中では、人前でライブ演奏することとどうしても切り離せないんだ。俺にとってはそれが悩みどころだ」

ブラウンにとってお待ちかねのその日は7月29日。シカゴのユナイテッド・センターで、延期されていたジェームス・テイラーとのツアーが再開される。「みんなワクチンを接種してくれてるんだろうね」と本人。「どういう風にやるのかわからないが、どんなふうにアリーナが埋め尽くされて、どんなふうにコンサートが行われるのか、すごく興味をそそられる。まあやってみるさ」



ジャクソン・ブラウン
『ダウンヒル・フロム・エヴリホェア』
2021年7月23日リリース
視聴・予約:https://jacksonbrowne.lnk.to/DownhillFromEverywhereRS

Translated by Akiko Kato

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