プレッシャー以上に感謝の気持ちが大きい
―J-POPやボカロの文脈というよりも、今世界中の人の心を掴んでいるK-POPが得意とするビートやベースラインの組み方、音色の選び方、展開の仕方、オリエンタル感を取り入れた上で、DECO*27さんというボカロPの頂点と言っても過言ではない作詞家が歌詞を書いていて、あらゆる文化を1つに編み込んで日本のメインストリームへ投げ放った曲だなと感心しています。
Ado 私も聴いたときに、EDMっぽいノリノリな曲になりそうだなと思ったんですが、たしかに音作りとか入っている音がK-POPっぽいなとは思いましたね。
―Adoさんはご自身のルーツとしてまふまふさん、そらるさん、りぶさんなど歌い手の名前をよく挙げられていますが、K-POPも聴かれるんですか?
Ado K-POPも聴きますね。特に聴くのはBLACKPINKさん、RED VELVETさん、BTSさんとか。あと、CLCさんというグループも拝聴します。
―「踊」はラップもあれば合唱パートもあって、レコーディングの際に歌うのが大変だったのでは?
Ado 正直、大変でしたね。「うっせぇわ」も「レディメイド」も「ギラギラ」も大変だったんですが、「踊」もとっても大変でした。「踊」は声を重ねる部分が多くて、特にサビに入ったときの“Woah”が一人で7、8人分くらいの声を入れなきゃいけなくて、しかもそのコーラスが曲の中で結構振られていたので、なかなか苦戦しましたね。
―「うっせぇわ」が社会現象とも言われるくらい、本当に老若男女に聴かれる楽曲になっている中で、Adoという歌い手に対して今どんな曲を書き下ろすべきかという点も、Gigaさん、TeddyLoidさん、DECO*27さん、それぞれ考え抜かれたと思うんですね。Adoさんは、今のご自身の状況や立ち位置に対して気負いする部分などないですか?
Ado もちろん、そう思うことも、ないとは言い切れません……が、こんなにもたくさんの方に私の歌声が聴かれていると思うと、もう本当に、気負いやプレッシャー以上に感謝の気持ちが大きいです。
―今作では、今までと違うAdoの一面を見せたいという気持ちもありました?
Ado そうですね。今までは、たとえば「うっせぇわ」だったら怒りとか、自分の心情を曲として伝える感じだったんですけど、今回は全体的にこれまでの3曲とは違っていて、自分の新しい一面がまた見せられたんじゃないかなと思ってます。「踊」は……なんて言えばいいのでしょう……元気で、激しくてノリノリで、クラブなどで使われるんじゃないかっていうくらいのEDMっぽい曲で。私は自分のことを陰キャだって言ってるんですけど(笑)、クラブはこんな引っ込み思案な陰キャが行くようなところじゃないと思いますし、そんなところで流れているような曲を陰キャが歌うっていうのは……「なんだこれは」というか(笑)。