RINGO TONE、4年ぶりのアルバムで示した曲に寄り添うアプローチ

ー各パートが曲に寄り添うアプローチをしていたんですね。2曲目「Sick!!!!!」は、Aメロの頭からメロディーがスケールを外しているようで、ふらついて彷徨っている感じが独特です。

真史:「ソルトコーヒー」はたくさん考えて作ったんですけど、「Sick!!!!!」は珍しくほとんどフィーリングで作ったイメージです。ここをこうしたいというのがあまりなく、サンバみたいで独特なリズムに合わせてベースをちょっと弾いてみようと思ったら、感覚的にさらっとベースラインはできましたね。

ーたしかにサンバ調のリズムがありますよね。こういう特殊なリズムは普段から勉強しているんですか?

樋口:いろいろ聴いて真似たりはしているんですけど、メロディと展開で上手くハマったのが今回のサンバ調のリズムだったんです。元々明るめの曲だったり、ドラムがちょっとガチャガチャしている曲が得意なので、この曲はすんなりできて。普段はセッションして曲を作ることが多いんですけど、セッションの段階で形になった曲の1つで、それぞれのフィーリングで作れた印象ですね。強いて言うなら、サンバ調で続いていくとメリハリがなくなってしまうので、Bメロで曲調をちょっと抑え目にしていて、サビが際立つような構成になったかなと思います。

ー「あいつは雨のように」と「ねえ、リリィ」は、2019年にリリースした曲なので、他の曲と制作した時期が違いますが、この2曲でのアプローチは全然違いますね。

剛史:これは「ねえ、リリィ」と同時に配信リリースしたので、両A面であることを意識して作ったんです。「ねえ、リリィ」は僕たちがギターロックをやったらどうなるのか、たくさん考えて作っていて。その反動で、「あいつは雨のように」は何も考えず、自分達らしく思いつくままにやってみたんです。自分たちらしく作った曲がライブでも評判が良かったので、やりたいことをやればいいと自信がついたという意味では、今回のアルバム制作に繋がった大事な曲でもありますね。自分たちの強みを分かることができた曲です。

ー「ねえ、リリィ」はノリやすくて勢いのある曲である反面、ギターソロからの展開もあったりして、ギターロックをやったらどうなるかを念頭に置きながらちゃんと考えて作った感じもありますね。なのに、なぜか聴きやすい不思議な曲です。

剛史:僕の音楽のルーツがMr.Childrenとかスピッツ、THE YELLOW MONKEYなどメロディがこってりしているバンドで。ギターロックが自分の血に無かったんです。なので、「ねえ、リリィ」はギターロックを色々聴いて、試行錯誤して作った曲ですね。シンプルなギターロックを目指して作ったのに、蓋を開けてみたら、AメロからEメロぐらいまでメロディがコロコロ変わるし、転調する前にサビが1回しかない変な構成になっちゃって。でも、メロディもキャッチーだし、エモーショナル感はこのアルバムの中で1番あるかなって思うので、よく作れたなって嬉しくなった曲ですね。



真史:出来上がった結果、全然ギターロックじゃなかったんですけど、僕らは自分たちのルーツにあるものが絶対出ちゃうっていうのが分かって面白かったですね。

樋口:展開を凝ってカスタマイズしていったんですけど、聴けば聴くほど、ごちゃごちゃした感じが出ない曲になったのかなと自負していて。2人が激しい感じで弾いているので、それが浮かないように、土台となるドラムもそのテンションに合わせて叩きました。

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