マクドナルド「BTSミール」誕生秘話  

先週からマクドナルドでBTSミールと関連グッズの発売が開始された。昨年のマクドナルドのマーケティング部門の最高責任者がBTSなどのミュージシャンたちとのコラボレーションをローリングストーン誌に語ってくれた。

K-POPの王者のような食事に憧れるだろう? 米国現地時間5月26日水曜日の朝、全米のマクドナルド・レストランで一斉に「BTSミール」が発売された。これはチキンナゲット10ピース、Mサイズのフライドポテト、Mサイズのコーラ、スイートチリ味とケージャン味のディップソース付きのセットだ。ちなみにこのディップソースは韓国国内のマクドナルドで販売されているレシピにヒントを得たと言う。このミールに続いて、同日の米国東部標準時間午後7時から販売開始されたのがBTSミール関連グッズで、これはBTSの親会社HYBEが作成した韓国プラットフォームであるアプリWeverse Shopの独占販売となる。

マクドナルドがローリングストーン誌に語ったところによると、関連グッズのアパレル商品はメニューアイテムからインスパイアされたもので、フード付きパーカー、バスローブ、靴下、サンダルなどがある。また、カラーはBTSのトレードマークのパープルと、マクドナルドのお馴染みのカラー、赤とゴールドを組み合わせていると言う。さらに、BTSの最新シングル曲「Butter」をフィーチャーしたマクドナルドのコマーシャルが、アメリカ国内では現地時間5月26日よりテレビ放送されている。そして、マクドナルドのアプリでは「いまだかつてないデジタルサプライズ」が登場すると発表している。

ロックダウン中、音楽業界ではブランドとのパートナーシップが大流行し、直接の接触を避けて収入を得るこの方法にアーティストたちは先を争うように飛びついた。例を挙げると、レディ・ガガはアルバム『Chromatica』にちなんだピンクとグリーンのオレオを作り、ポスト・マローンはポケモン25周年記念イベントに参加したスターの一人となり、セリーナ・ゴメスはブラックピンクとのコラボシングル曲にちなんで、セレンディピティ・アイスクリームのフレーヴァーを生み出した。一方、最近のマクドナルドは話題をさらうセレブ起用戦略を短期間に連続投下してきた。昨年のトラヴィス・スコットとJバルヴィンに続き、今年はBTSが起用された。(ちなみにフォーブス誌によると、昨年マクドナルドとの提携でスコットの懐に入った金額は2000万ドル前後のようだ)。ただし、スコットとの提携以前、マクドナルドのメニューにセレブが登場したのは、1992年のマイケル・ジョーダンが最後である。

今回はメールでのやり取りでこのインタビューが実現したのだが、質問に答えてくれたのはマクドナルドUSの最高マーケティング責任者モーガン・フラットリー氏、USフランチャイズ加盟店のマーケティング委員会議長ヴィッキー・チャンセラー氏の二人。晴天の霹靂の如くいきなり登場した驚異的マクドナルド・ミールの舞台裏を丁寧に説明していただいた。



―このセレブリティを起用したマーケティング戦略はどんなふうに思いついたのですか? また、パンデミックがあったからこそ実現したキャンペーンだったのでしょうか?

モーガン・フラットリー(以下MF):このフェイマス・オーダー・プログラムのアイデアはパンデミック以前に出ていました。誰もが好みのメニューがあるわけで、有名セレブであってもそれは同じです。ですから、このアイデアをスーパーボウルのコマーシャルに採用して、2020年2月に複数の大人気セレブの「定番トレイ」を登場させました。

マクドナルドは若い世代のファンの動向を注視しており、常に彼らと一緒に最先端を歩きたいと考えています。今回のプログラムは新たな世代とのつながりをもたらしてくれましたし、マクドナルドというブランドが一つの文化として定着したと思います。

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―トラヴィス・スコット起用はどんなふうに始まったのですか? 誰がどのような経緯でどこにアプローチしたのですか?

MF:トラヴィス・スコットが地元ヒューストンで子供の頃からよくマクドナルドを食べていた長年のマクドナルド・ファンだということは知っていました。ですから、私たちがレストランで最初のセレブミールを提供すると決めたとき、トラヴィスこそがこのアイデアを実現する最良のパートナーと考えました。

Translated by Miki Nakayama

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