アレサ・フランクリンのアルバム『Lady Soul』をマリアージュ、鳥居真道が徹底考察

アレサが歌ったゴフィン/キングの名曲「(You Make Me Feel Like)A Natural Woman」を聴いてみます。楽器隊の編成は、ピアノ、ベース、ドラムを中心として、弦と管が加わったものです。コーラスはスウィート・インスピレーションズとアレサの妹、アーマ・フランクリン。

ピアノはマッスル・ショールズのスプーナー・オールダムが弾いています。そして、ベースはトミー・コグビル、ドラムはジーン・クリスマン。この二人はメンフィスを代表するリズム隊です。同じくメンフィスのドナルド・ダック・ダンとアル・ジャクソン、マッスル・ショールズのデヴィッド・フッドとロジャー・ホーキスと合わせてアメリカ南部のリズム隊三英傑と勝手に呼んでいます。



「A Natural Woman」では、コグビルとクリスマンがものすごくシンプルな演奏をしています。以前取り上げたカーペンターズの「(They Long To Be) Close To You」も相当シンプルな演奏でしたが、こちらの曲もそれに匹敵するようなシンプルさです。こうした演奏は情感豊かな印象を受ける一方で、リズムには緊張感もあります。音を出す回数が少ないので、タイミングを外すと締まりのないフニャフニャした演奏になってしまいます。それゆえ、プレイヤーには集中力が求められます。

リズムの構成を見ていきましょう。様々な解釈ができると思われますが、今回は3/4拍子とします。ドラムを聴くと「ドンチッチッ/タンチッチッ」というパターンを演奏しているのがわかります。この「ドン」「タン」「チッ」がそれぞれ1拍分の長さです。そして「ドンチッチッ(ワンツースリー)」「タンチッチッ(ワンツースリー)」がそれぞれ1小節分の長さになります。

続いて、もう少し細かい単位を見ていきます。リズムの最小単位は1拍を三等分した3連符です。そして、三連符の真ん中のオタマジャクシを抜いたシャッフルというリズムの型が1拍を構成しています。「タカタ・タカタ・タカタ」から「カ」を抜いた「タッカ・タッカ・タッカ」というリズムです。ミュージシャンは各自の体内メトロノームを3/4拍子のシャッフルに設定してアンサンブルを構築していきます。

Rolling Stone Japan 編集部

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