Jay SomとPalehoundが意気投合、Bachelorで見つけた友情とブリーダーズ愛を語る

友情でつながっている方がエキサイティング

─レコーディングにはビッグ・シーフのバック・ミークとジェームズ・クリヴチェニア、チャスティティ・ベルトのアニー・トラスコットが参加していますね。

メリーナ:すごく素敵なコラボレーションだったよ。ジェームズはLAに住んでいるんだけど、バックはトパンガに住んでいて、制作中に私たちを訪ねて来てくれた上に、エレンにギターを貸してくれて。そのギターを、いつもストリングスでお世話になってるアニーにも演奏してもらったんだ。

エレン:ドラムパートは自分たちで演奏したんだけど、ものによってはどうしても技術が追いつかない部分があって、そういうところでジェームズに助けてもらった。ジェームズは私たちが好きなドラマーの1人だし、コラボレーションできて本当に嬉しかったな。



─そうして完成したアルバムは、メリーナとエレンの個性が「ぶつかり合う」というよりは、お互いを刺激し合いながら深いところで結びついた、親密かつリスペクトに溢れた楽曲が並んでいます。

エレン:歌詞は私が書いたものもあるし、メリーナが書いたものもあるけど、お互いのバンドでツアーをしてきた中で感じたことや得たものが反映されていると思う。私たちのこれまでの恋愛や友情、そうした関係性の始まりや終わり、別れによって感じた自分の心の弱い部分とかもね。

─歌詞を読むと、クィアネスや気候変動などシリアスなトピックからインスパイアされつつも、直接的なメッセージソングへと帰結するのではなく、どこかユーモアやウィットネスを感じさせます。

エレン:歌詞を書く時は、自分の思考をそのまま表現したいと思っているのだけど、シリアスなメッセージを伝えたいときや、ダークなテーマを扱うときには必ずユーモアを交えるようにしているんだ。それは、自分自身のメンタルヘルスのためでもあるし、聴いた人が自由に解釈できる余地を残したいからでもあるんだよね。

メリーナ:私にとってエレンが好きな作詞家の一人なのは、そういうバランス感覚に長けているところだよ。

─僕も常々、「シリアスなメッセージを伝えたいときにこそユーモアが必要」と思っていたのですが、2人がそういう考えに思い至ったのはどんな経緯でした?

メリーナ:自然とそうなったかな。私たちはまだ若くて、常に新しいことに触れている状態だから、成長していく中で自然とそういう考え方になっていったのだと思う。周りの若者たちが大人になっていく様を見たり、友情でも恋愛でも、自分の人間関係からもたくさん影響を受けたりしているし、もちろんエレンからも影響を受けてるから。

エレン:私も人間関係と、あとはやっぱりSNSかな。色んな人のSNSの投稿を読むのが好きで、内容に賛成できてもできなくても、とにかく色々読んで、そこから影響を受けたんだと思う。



─ソングライティングの面では、今作にはお二人がフェイバリットに挙げているピクシーズやザ・ブリーダーズへの愛が炸裂していると思いました。

メリーナ:もちろん2組とも大好き。特にエレンはそうだよね。

エレン:ブリーダーズは本当に影響力のあるバンドだと思う。キムとケリーのディール姉妹がバンドを牽引している、あの体制にも影響を受けた。私が好きなベーシストの1人がキムだったから、メリーナの尊敬しているベーシストがキムだと知って嬉しかったな。

メリーナ:ギターもすごくて良い曲ばかりだしね。

エレン:歌詞もね。全部最高。



─他にインスパイアされた音楽やアーティスト、映像作品を挙げるとしたら?

メリーナ:今日ちょうどその話をしていたんだけど、製作中はアラバマ・シェイクスをよく聴いたな。エレンが『Sound & Color』(2015年)を教えてくれて、ちょっと前のアルバムではあるんだけど、すごくはまった。プロダクションもミキシングも、ギター・ワークもすごく参考になる。ブリタニー・ハワードも最高。

エレン:あとは『マンダロリアン』(笑)。私たち2人とも『スター・ウォーズ』が大好きだからずっと見てたよね。そうそう、メリーナが映画音楽にはまっているんだけど、それも今回のアルバムにも表れていると思う。私が歌詞として曲のストーリーを書いて、メリーナがそれにサウンドトラックをつけるみたいな感じで、その関係性も好きなんだ。そもそも『スター・ウォーズ』の音楽って最高だしね(笑)。

メリーナ:ジョン・ウィリアムズやハンス・ジマーのような壮大な映画音楽が好き。『インセプション』とかね。静かめなのだと、ジョージ・クルーニーが出ていた方の『ソラリス』(スティーヴン・ソダーバーグ監督作)を手掛けたクリフ・マルティネスの音楽も好きだな。歌詞がある音楽を聴きたくない気分の時とか、自分が描く曲より映画音楽のほうが好きだと思うこともあるんだよね。

─ちなみに『スター・ウォーズ』で好きなキャラクターは?

エレン:2人ともベビー・ヨーダは好きだよね。私はR2-D2とか、ロボットのキャラクターが全般的に好き。

メリーナ:私はイウォークが大好き。

エレン:あー、私も。

メリーナ:でも最近で言うと、マンダロリアンが好きかな。



─ありがとうございます(笑)。さて、6月11日に2人がホストを務めるライブストリームフェス「Doomin’ Sun Fest」が開催されます。このイベントの見どころというと?

エレン:イベントではライブセットに一番時間をかけてる。もちろん自分たちのライブも楽しみだけど、私は出演してくれる他のアーティストたちのパフォーマンスが本当に楽しみ。セットも友人の一人が企画に協力してくれて、"ギャラクシー・ブレイン”って呼んでるユニークな世界観を作り上げてくれたんだ。『セサミ・ストリート』っぽい雰囲気もある感じ。

メリーナ:今のところ全部で7時間ぐらいは必要になりそうだから、なんとか短くしようと頑張っているところ(笑)。1日でやるにはちょっと長過ぎるからね。

─昨今はライブストリーミングが多くなってきていますが、その中で「Doomin’ Sun Fest」はどういうところでオリジナリティを出そうとしていますか?

エレン:そこは私たちもこだわっているところで、他と違うものにしようと努力しているところ。みんながライブストリーミングに飽きてきているところだとは思うし、アメリカでは特に、もう普通のライブが再開され始めているからね。その中でオリジナリティを出すために、音楽アーティストだけではなくて詩の朗読や、ダンサーのパフォーマンスなども予定してる。あとは観客のみんなにも参加してもらえるような、インタラクティブな企画も行う予定だよ。

─「Doomin’ Sun Fest」の収益は寄付されるそうですが、そうした試みを通して世界に伝えたいメッセージはありますか?

エレン:一番伝えていきたいのは人と人とのつながり……特に友情かな。音楽はもちろん、他の表現方法も一般的にも恋愛における人とのつながりが強調されがちだけど、私たちは家族と同じくらい友情を大切なものだと思っているんだ。だから、みんながもっと友情を大切にして、友人に感謝できるようになればいいなと思う。

メリーナ:私も同感。

─日本には、あなたたちのライブを生で見るのを楽しみにしているファンがたくさんいます。最後にメッセージをもらえますか?

エレン:私はまだ日本に行ったことがないから、とにかく日本に行きたいって気持ちが強いな。

メリーナ:私も早くまた日本に行きたい。みんな、私たちの音楽を聴いてくれてありがとう。行けるようになったら、絶対に真っ先に日本に行くから。世界の中でも日本は本当に大好きな国なんだ。みんな本当に優しいし、音楽が好きなことが伝わってきて、去年のライブも最高の思い出になってるから。本当に本当に、早く日本に行きたい。




バチェラー
『Doomin’ Sun』
発売中
視聴・購入:https://tugboat.lnk.to/Bachelor_S3


「Doomin’ Sun Fest」
Bachelorとしての初パフォーマンスを披露
視聴リンク:https://doominsunfest.bachelor-band.com/
(日本時間 6/11 (金) 7:00 AM〜)

※「Doomin’ Sun Fest」はフリーで視聴が出来るフェスティバルですが
人種の平等を提唱する慈悲団体「Seeding Sovereignty」への寄付も募っています。
https://seedingsovereignty.org/

※終演後には3Dソーシャルゲーム「Hotel Hideaway」の中でバーチャルなアフターパーティーが行われます。
https://www.hotelhideawaythegame.com/

Translated by Aoi Nameraishi

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE