UAと浅井健一が語る、AJICOが歌う「新世界の夜明け」

「クラビネットを含めたあの感覚は、自分で作ってたら絶対出てこないもの」(浅井)

―サウンド面でもかなり意識的に作ったとUAさんはおっしゃいましたが、具体的には、どんなことをやりたいと考えたんですか?

UA:ロックが主体なんだけれども――。ロックそのものは多様に変化していっている歴史があって、私はその変化していくところがすごく好きなんです。もちろん、ウッドストックを含め、あの時代のロックっていうのが一番かっこいいわけなんだけど、やっぱり音楽は時代背景とともにあるわけだから、今、現実的に東京で音楽を作る時に20年前のことをやったとしても届かないだろうと普通に思うんですよ。若い、若いって言うか(笑)、日本の30代とか20代後半とかのミュージシャンを見ても、みんな、すごくうまいんだよね。しかも、すごく知識もあって、でも、ちゃんとポップもこなすっていう。あのしなやかさと言うか、したたかさと言うか、そういうところに私はすごく好感を持っていて、AJICOもそういうふうにしたたかにやってもいいと思ったんですよね。

―あぁ、なるほど。

UA:元々、浅井さんが持っている音楽のオーセンティックと言うか、スタンダードな良さっていうのは絶対的にあるわけだから、そこに色づけするのは私の役目かなと思いました。具体的にはエレクトロの方向に持っていきたいし、あと、LITTLE CREATURESの鈴木正人君をベーシストとして迎えるのではなく、サウンド・プロデュースと鍵盤でアイデアをいっぱいもらおうと思ってるっていうことと奥田(泰次)君っていうミックス・エンジニアがすごく好きで、彼が手がけている作品が耳に止まっていたので、彼とやりたいということもはっきりしていて。あとは何だったかな? ラップをしたいって意味じゃないんだけど、ヒップホップの方々のビートをすごく詰めていくサウンドの感じもやってみたいとも言ったけど、今回、そこまではちょっとできなかったかな。

―そのアイデアを聞いたとき、浅井さんはどう思いましたか?

浅井:すごくいいなと思って、ぜひともそういう世界に行ってみたいと思ったよ。

―1曲目の「地平線 Ma」はファンク・サウンドが新鮮でちょっとびっくりでした。作曲は他の3曲同様、浅井さんなのですが、浅井さんが作る曲にファンキーな要素が加わったのは、じゃあUAさんや鈴木さんのアイデアによるところが大きかったんでしょうか?

浅井:絶対そうだね。クラビネットを含めたあの感覚は、自分で作ってたら絶対出てこないものなんだけど、ああいう世界観は大好きだからすごく良かったと思ってるよ。

―聴きながら、ひょっとしたら浅井さんが持ってきた原曲を、全員でセッションしながら完成させていったんじゃないかと想像したのですが。

浅井:セッションはしたよ、もちろん。原曲は俺が持っていって、バンドのメンバーでセッションして、それを元に正人君がUAと相談しつつ、いろいろ膨らませていったという感じだよね。

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