SIRUPと手島将彦が語る、当事者ではないからこそ知っておくべきメンタルヘルス

ーSIRUPさんから手島さんに訊いてみたいことはありますか?

SIRUP:僕、一瞬だけ専門学校でスタジオ管理のアルバイトしていた時期があるんですよ。その時に、進学しないといけないけど他に学びたいこともないし、音楽が好きかなって理由で入学してきた人もいて。その状態で、たった2年でどう生きていくかを決めないといけない。結局ルールの下でやらないといけなくて、病んでしまっていた子が多かったんです。その時に、手島さんみたいな先生がいたらいいなと本当に思いました(笑)。

手島:ありがとうございます(笑)。でも本当にそうなんですよ。僕も最初に学生に対して、「同じ年齢の人が何10人も同じ環境にいることが異常だからね」って話すんです。社会には年齢の幅も含めてもっと色々な人がいて、きっとより生きやすい環境があるんだけど、保護者も含め幾つかの選択肢にしか目が向かなくなっている。別に必ず今進学しなきゃいけない、働かないといけないわけじゃないんだよ、休んでもいいんじゃない? とか、不自然な環境の同調圧力は気にしすぎないほうがいいよって言うようにしています。

SIRUP:今、全員が平等に死ぬ可能性がある時代で生き方を考えるタイミングじゃないですか。自分の環境は、本当に自分で選択したのか? とか、そこでしんどい思いをしていることが正しいのか? って、考えてみたらいい選択ができるんじゃないかと。

手島:そう思います。いつも言っていますけど、大抵のことは世の中のほうが悪いと思ったほうがいいですね。何か違和感があったら、世界の方がおかしいのではないか?と考えたほうがいい。ほとんどのことは誰も悪くないし、世の中が変わればそれがいいことに変わっちゃうかもしれないし。ただ、世の中はすぐに変わらないことが多いから対処法は考えたほうが当面は生きやすいかも、というだけで、根本的に自分の存在に非があるわけじゃないんです。

SIRUP:”大抵のことは世の中のほうが悪い”、本当にめっちゃ良い言葉だと思います。



<書籍情報>



手島将彦
『なぜアーティストは壊れやすいのか? 音楽業界から学ぶカウンセリング入門』

発売元:SW
発売日:2019年9月20日(金)
224ページ ソフトカバー並製
本体定価:1500円(税抜)
https://www.amazon.co.jp/dp/4909877029

本田秀夫(精神科医)コメント
個性的であることが評価される一方で、産業として成立することも求められるアーティストたち。すぐれた作品を出す一方で、私生活ではさまざまな苦悩を経験する人も多い。この本は、個性を生かしながら生活上の問題の解決をはかるためのカウンセリングについて書かれている。アーティスト/音楽学校教師/産業カウンセラーの顔をもつ手島将彦氏による、説得力のある論考である。

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