HYDE、1stアルバム再現ツアー『ROENTGEN』を出すことは僕にとってロックだった

観客の大きな拍手に包まれる中、HYDEは胸に手を当てて客席全体に目を配り、心から溢れ出したような喜びの表情を見せた。「ああ……早速、僕の方がウルウルきてしまいました。20年目にしてやっとツアーが始まったというね。今日は『ROENTGEN』の曲だけでなく、ここに至るまでの間にやりたかった曲も入れていきたいと思います」。

HYDE曰く、コロナ禍をきっかけにツアーのアイデアが浮かんだのだと言う。「『そうだ! 『ROENTGEN』のツアーをやれば良いじゃん』と思って。しかもオーケストラで再現するようなツアーをやったことがなかったので、これは良い考えだと思いました」。そして『ROENTGEN』の制作を振り返った。「当時ね、ラルク(L’Arc〜en〜Ciel)から離れて1人で曲を全部作って。全部自分でアレンジをして。もうこんなアルバムは作れないなって。『やるとしたら10年後かな』って当時のインタビューでは言っていたんですけど……20年が経ちましたね(笑)。20年経ってようやく重い腰を上げました。やっと『ROENTGEN』に会えた。『このアルバムを20年聴いてきて、やっとライヴで観れる』と感じてる人がいっぱいいると思うんだよね。僕もこうやって歌っていて感慨深い。(後ろ振り返り)しかも今のメンバーで再現してくれるのがすごいなって。タイムマシーンに乗ってるみたいな気分」。



ここで現在制作しているアルバム『ROENTGEN2』の中から、新曲2曲を披露をすることに。「まず1曲は「SMILING」という、タイトルは笑顔なんですけど暗い曲です(笑)。雪が降ってリセットして、また頑張ろうという歌詞になっていますが、「WHITE SONG」よりもさらに悲しく仕上がっています。もう1曲は「THE ABYSS」という曲で、ABYSSは奈落の底っていう意味。これもまた重い内容なんだけど、すごく良い曲になりました」。そんな紹介の後に演奏された「SMILING」は、雪景色の広がる銀白の中を行き場なく彷徨うような、デリケートな歌詞でありながら、スケール感のある演奏が楽曲の表情をより豊かに表現していた。そして「THE ABYSS」は生きることに疲れ果てた主人公が、自身の人生を振り返り「何が正しくて、何が間違っていたのか」と苦悩する歌詞になっていた。まるで触れると簡単に割れてしまうガラス玉みたいに、儚さと美しさが内包された世界観。このHYDEにしか映せない景色に、人々は魅せられるのだろうと再認識した。

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