元乃木坂46・中元日芽香と手島将彦が語る、メンタルヘルスを含めたアイドル論

ーキャラクター作りがビジネスとして成り立つ芸能界で活動をしていて、つらい気持ちになった時に周囲の関係者からのサポートはありましたか?

中元:カウンセリングを勧めてくれるマネージャーさんがいたり、「大丈夫?」って声をかけてくれたり、「選抜じゃなかったのはこういう理由で」ときちんと説明してくれるスタッフさんがいらっしゃったのはとても助かりました。「何かあったら私には話を聞いてくれる人がいるんだ」と思えると、多少思い切った活動をしたり、外では頑張って、会社では話を聞いてもらうとか。基地があるかないかの違いが大きいと思います。活動に主軸を置くことが多いので、裏側のケアや、「うちのアーティストは何を考えているんだろう」って、意識しないとなかなかキャッチするのは難しいですよね。

手島:エンターテイメントの世界はどうしても競争や他人との比較が日常的な場所ですよね。そうすると、本人もスタッフも、とにかく競争と比較を先にクリアすることに考えが持っていかれてしまう。職業柄、仕方ない面もありますが、競ってばかりだとやっぱり大変だと思います。

中元:乃木坂46はメンバーのみんなで互いに支え合う関係が常にあって。みんな自分と戦っていて、他のメンバーに対してバチバチ感はなかったんです。

手島:そうなんですね。そういう関係は良いですよね。比較や競争が必ずしも全て悪いということではなくて。他人と比較することで、自分が何者なのかわかるということもあります。また、他人を目標にするということが良い結果を生むこともあるでしょうし。ただ、やり直しができないように設定された競争や、はじめる条件が公平・公正でない競争が世の中にはあって、やり直しもできないまま無理やり続けさせられると地獄のレースになってしまいます。比較するにしても、例えば、「身長が高いか低いか」だけが評価基準だとしたら、半分ぐらいの人はダメだと判断されかねないわけで、結構な人が苦しくなってしまう。比較する場合は、本来人間の評価できる基準はもっともっとたくさんあるから、いろいろなところを見た方がいいということだと思うんです。そこを突き詰めると、中元さんの著書にあった言葉ですが「必要ないメンバーなんて1人もいない」になるはずなんですよね。

中元:どうしても相対評価になりがちなところがありますが、自分の中での絶対評価も必要ですよね。このシングルに於いて、売れる売れないじゃなくて、いいものを作ろうとか、自分の中に軸が1本あるだけでだいぶ違うと思います。昔の私はそれがなかったんです。当時を振り返ると、アイドルをしていて今日は上手くいったな、いい1日だったなという短いスパンでの到達できそうな目標を組み込んでいたらよかったと思います。選抜になる、ならないでジャッジしていたので、それはちょっと行き過ぎた目標設定だったかなと。自分の成績だけじゃなくて頑張っている過程も、もうちょっと見つめてあげられたらよかったなと。グループを卒業してやっとそう思えたんですけど、グループにいながら見出すってなかなか難しいなと思います。

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