元乃木坂46・中元日芽香と手島将彦が語る、メンタルヘルスを含めたアイドル論

手島:結果も大事ですが、やっている過程や、歌う、ギターを弾く、踊るとか、行為自体が楽しいということもありますよね。結果だけを優先的に重視し過ぎると、結果というのは出るまでわからないわけですから、そこに至る過程はずっと不安を抱えたままになってしまいます。そのため時にむしろ悪い結果に結びついちゃうことがあるのかなと思いますね。過程や、そのもの自体に純粋に打ち込むことも大事ですよね。

ー自分の芯を通すという点で言うと、「好きなことをやっていて羨ましい」と周りから言われることもあると思いますがいかがですか?

手島:年齢を重ねてきて思うのは、基本的には自分が好きなこと、大事にしたいことをやった方がいいということですね。少なくとも、嫌なことや苦手なことはできるだけやらない、とか。そうじゃないと、単純に人生は長いので、どこかで無理が来て長続きしない。あと、好きなことをやっていくにしても、「承認欲求」というものも出てきますよね。中元さんの著書には「承認欲求」と、どう向き合うかというポイントもひとつあると思うんですが、欲求には、承認欲求の前に自分の「生理的欲求」「安全欲求」「社会的欲求」などがあるともいわれますよね。「承認欲求が強すぎる」って批判的な人もいるけど、承認欲求自体は求めてもオッケーなもので、ただその前に安全であるとか健康であるとかが第一だよねという話だと思います。メンタルも含めて体が悲鳴を上げていたら、まずはそっちが大事だよという。

中元:承認欲求が1つのエネルギーになってくれることもあると思うんです。例えば、初期で言うと、乃木坂48と間違えられることが多くて、「46って呼んでもらいたいよね」ということとか。メンバーの中から少しずつ有名になる子が出てくる中で、自分も1人でテレビに出られるようになりたいとか。その欲求は自分を高みに持っていって、プラスに働いてくれることも多いと思います。でも、他人から認められることも大事だけれど、その前に自分の中で自身の価値や頑張りを評価した上で、周りからも評価されたらもっといいよねという順番がないと「自分は自信がないです。でも、周りからは認めてもらいたいです」ということになってしまいますよね。その中で例えば、エゴサをした時にネガティブなワードが目に入ってきた時、軸がある人だったら、「何を言われようと大丈夫」って思えるんでしょうけど、褒められたくてエゴサした場合、「悪口見つけちゃった……」となってしまう。そういう承認欲求の満たし方は、順番が間違っているかもしれませんよね。

手島:欲求も含めて、湧き上がってくる感情で悪いものって1つもないと思うんです。怒りや憎しみだってとても大切なもので、むやみに蓋をする必要はない。ただ自己肯定感がなかったり、他人との競争や比較にだけ翻弄されたりしてると、自分の感情の大波に揺らされて大変になってしまう、ということがあります。そうならないように欲求や感情とどう上手に付き合っていくかですよね。そのお手伝いをするのがカウンセラーでもあると思います。

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