元乃木坂46・中元日芽香と手島将彦が語る、メンタルヘルスを含めたアイドル論

ー中元さんは心理カウンセラーである一方、元アイドルという肩書きがありますよね。著書を通して当時のことを発信することに対してどのような思いがあったのでしょう?

中元:本を書く上で1番気をつけなきゃなと思ったのは、あくまで私の一体験でしかなくて、アイドルが大変な職業というイメージが先行してしまわないようにすることでした。ただ、一方で今カウンセリングの仕事をしていて、孤独感、「自分だけがこんなつらい思いをしている」という方に対して、私もアイドル時代で置き換えるなら、こういう時に感じたということを伝えられたらいいなと思っています。「大変だったんだね」で終わらせずに「その先のメンタルヘルスって大事だよね」とか、アイドルが入り口になれたらなと思いつつ書きました。「カウンセラーってどんな人なんだろう」、「カウンセリングって思っていたよりもカジュアルなものなんだな」という見え方をしてほしいなと思うんです。

ーメンタルヘルスについては決して他人事ではないし、自分ももしかしたら同じように苦しむことがあるかもしれない。表舞台の方が発信することで、もっと一般の方にも理解が広まると思うんですよね。

中元:自分が適応障害になるまでは、骨が折れてないのに時間通りに現場へ来れない理由が分からなかったんです。発熱や腹痛でも、タクシーで時間通りに来れるでしょと思っていて、人にも自分にもそれを求めている節がありました。だけど、適応障害を経験して、時間で家を出なきゃいけないのも分かっているし、荷物も準備したのに足がすくんでしまうことを実際に体験して。それまで心の中でそんな風に思っていた子たちに「ごめんね」って。例えば、身近な同僚の方、ご家族の方に対して理解を示してあげること、気持ちを想像してあげることができたらうれしいですよね。

手島:想像できるようになることはたしかに大事ですよね。全てのことに対して、自分が当事者にはなれません。でも、人の痛みやつらさはある程度想像できる。今回の中元さんの著書であったり、あるいはカウンセラーが発信していくことで、みんなが互いを想像し合うきっかけになれば、もうちょっと生きやすくなると思うんです。全員大事な存在なので、「あなたはそうかもしれないし、自分はこうかもしれないけど、それ以外にもいろいろな人がいるよね」ということを想像し合うのは大切ですよね。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE