大麻陽性の米陸上選手、五輪欠場へ 選考会の前に聞かされた「母親の死」

シャケリ・リチャードソン(Photo by Ashley Landis/AP)

米陸上界のスター選手、シャケリ・リチャードソンが、東京五輪の女子4×100メートルリレーのメンバーから外れ、五輪欠場が確定した。

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21歳の短距離走者は、先月オレゴンで行われたアメリカ代表選考会の女子100メートル走で優勝したが、全米アンチドーピング機関より検査の陽性結果が発表されたのを受け、1か月の出場資格停止処分を受け入れた。この結果、選考会での勝利は無効とされた。

ルールでは、アメリカ代表チームに選ばれるには選考会で上位3位以内に入り、かつオリンピックの出場基準を満たさなくてはならないが、全米陸上連盟職員は条件を満たさない選手からも選抜することができる。リレー種目はリチャードソンの出場停止処分のあとに行われるため、職員推薦枠で代表に選ばれる可能性が残っていた。

だが、リレー代表メンバーはリチャードソンの陽性判定が発表される前からすでに決定していた。彼女が出場停止となったため、コーチは100メートル種目の6選手を選抜し、代表チームの選考を終えた。

「UFATF(全米陸上連盟)に所属する選手はみな、現行のアンチドーピング規程を認識し、これに従わなくてはなりません。もし特定の状況でしかルールが適用されないのであれば、国内競技統括組織としての我々の信頼が失われてしまいます」と、全米陸上連盟は声明でこう述べた。「したがって、シャカリ選手の状況は心から理解するものの、オリンピック・アメリカ代表選手として出場枠を獲得し、夢をかなえたいと願う選手全員に、公平な環境を維持しなくてはなりません」

リチャードソンは先週TV番組『Today』で、生みの母親の急逝に対処するためにオレゴンの選考会でマリファナを使用したと発言。ちなみにオレゴン州ではマリファナは合法だ。彼女は選考会が始まる数週間前、インタビュー相手の記者から母親の死を聞かされた。

「みなさん、どんな状況かわからないでしょう……世界の矢面に立たされてても、痛みを隠して取り繕わなきゃいけない気持ちなんて」とリチャードソン。「悲しみや今まで経験したことのない辛さ、まさか直面するとは思いもしなかった苦しみにどう対処するべきだというのでしょう?」

リチャードソンはさらにこう付け加えた。「自分の行動にはきちんと責任を取りたいと思います。自分のしたことはよくわかっています。本来どうするべきだったかも……それでも私はああいう決断をしました……私を責めないでください、私も人間です。みなさんと同じ人間です。ただ、たまたまちょっと足が速いだけなんです」

from Rolling Stone US

Translated by Akiko Kato

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