触る、舐める、挿れる、極悪ポルノ男優の所業が長年見過ごされてきた理由|2021上半期ベスト

ポルノ俳優がレイプされたと言っても、周りが真剣に取り合ってくれない

スティールさんいわく、ジェレミー氏はプロデューサーを紹介して、女性同士が絡む写真撮影をブッキングしてやるから、ロサンゼルスのアパートに泊まりにおいでと誘った(当時彼女には付き合っている恋人がいたため、本人はあまり気乗りがしなかったそうだ)。それからほどなくスティールさんがロサンゼルスへ飛ぶと、ジェレミー氏から写真撮影をブッキングしたと聞かされた。性行為はフリだけでいいと言う。撮影の最中、ジェレミー氏は彼女をバスルームに追い詰め、ドアを閉めたとスティールさんは主張している。

「彼は『あんたの尻を見せてくれ、そしたら撮影でカタくなれるから』と言いました」とスティールさん。「すると彼はソノ気になって、私が気づかないうちにねじ込みました。私は嫌の一点張りでした。彼はやめてくれましたが、私が嫌だと言ってからずいぶん経った後でした」

スティールさんはショック状態だったそうだ。「写真撮影中、『あれはレイプだったの? あれはいったい何?』と考えていました」と本人。「(でも)撮影が終わるころには、自分が大げさに考えていて、たんなる過ちだったのだと思うようになっていました」。だからその晩ジェレミーの家に泊まり、彼と同じベッドで寝ることにも同意したのだという。だが、自分には恋人がいるので性的なことは望まないと念を押したそうだ。その夜、彼は再び彼女をレイプした。

「身動きできませんでした」と本人。「何度も何度も嫌だと言って、結局無駄だとわかりました」。彼女は当時を振り返り、翌日に彼を大声で非難し、同意の原則を無視したと責めた。「私は完全に頭に来ていました。泣きじゃくっていました」と本人。その夜彼はカウチで眠り、スティールさんは翌朝ロサンゼルスを発った。なぜもっと早く発たなかったのかと言う質問に、彼女はこう答えた。「他にどうすればよかったんです? 歩いてロスから出ろと? 他に行く当てもなかったんです」

当時スティールさんは、元恋人やストリップクラブの同僚など大勢に事の次第を話した(ローリングストーン誌がスティールさんの元恋人にコメントを求めたところ、空港に迎えに行ったときに事件のことを告白されたと語った。スティールさんの友人アンバー・リンさんも、のちにスティールさんから事件を打ち明けられたと述べた)。彼女は2010年、ひっそりと業界を引退した。

スティールさんの事件についての質問に、ジェレミー氏はそっけなくこう言った。「そもそもなぜレイプ魔の家に行こうと思ったんだい? 勘弁してくれよ」と本人。「でたらめだよ」

スティールさんは警察に通報しようかどうか考えたものの、性業界にいた過去のせいで断念したという。「私自身、かなり性的に奔放でした」と本人。「ストリッパーでしたし、証明することもできませんでしたから」

ジェレミー氏が自分を狙ったのも、まさにそれが理由だとスティールさんは考えている。「女性たちが背負っているレッテルの陰に隠れる、それが彼のやり方です」と彼女は言う。「ポルノ俳優がレイプされたと言っても、周りが真剣に取り合ってくれないことを(彼は)知っているんです」

Translated by Akiko Kato

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