触る、舐める、挿れる、極悪ポルノ男優の所業が長年見過ごされてきた理由|2021上半期ベスト

コンベンションでの悪行三昧

ジェレミーの容疑は数十年にもわたるが、ジンジャー・バンクスさんが動画を投稿してから――ニューヨーク・タイムズがハーヴェイ・ワインスタイン被告の特ダネをすっぱ抜いてから――ようやく業界外に非難の声が届くようになった。



バンクスさんはローリングストーン誌とのインタビューに対し、コンベンションで彼から暴行を受けたと主張する十数人の女性と話をして、ジェレミーに対抗しようと思い立ったと語った。「業界の人々に問いただすと、『ああ、それがロンだから』と言われるのが落ちです」とバンクスさん。「そういう態度が、私を駆り立てたんです――業界内の人たちはことを知っていながら、受け入れてしまっていたんです」

彼女はManyVidsというWEBサイトで仕事をしていたが、同サイトがジェレミー氏を授賞式の司会に抜擢すると知った。怒りに震えたバンクスさんは、「痴漢魔」と関わる会社は応援できない、と会社に向けてツイートした。会社側は直ちにジェレミーを司会から降板させた。

「業界のレジェンドと目されていた男性から暴行を受けたと名乗り出た女性の数の多さに驚かされました」。 ManyVidsのマーケティング・マネージャー、ローラ・スカヴォ氏はローリングストーン誌に宛てたメールでこう述べた。「そうした理由で、うちの授賞式の司会から彼を外すことにしました」

ソーシャルメディアから多数のプレッシャーを受けてExxxoticaもこれに続いた。ローリングストーン誌がコメントを求めたところ、Exxxoticaの運営ディレクターを務めるダン・アダムス氏はこう語った。「ここ数カ月間、ソーシャルメディアに次々現れる疑惑をふまえ、授賞式側も決断し、ロンには直接連絡して今後うちのイベントには出席しないことでご了承いただくことにいたしました」。それからほどなくFree Speech連合というアダルト業界関係者向けの団体も声明を発表し、数々の容疑を受け、2009年ジェレミー氏に授与したポジティブ・イメージ賞を撤回すると発表した。

ポルノ業界のコンベンションの参加者がポルノ俳優に触ろうとするのは珍しいことではないが、見本市で俳優が本人の同意なしにファンや業界の同僚に触るのはまた別の話だ。

ちなみにジェレミー氏の場合、胸にサインしてもらおうと彼に近づいてくるファンが大勢いることは指摘しておくべきだろう。「私が彼のそばにいるときはいつでも、みんな私の前を素通りして、私を押し倒して彼に迫っていきます」とドレイクさんも言う。「それからこれも言っておいたほうがいいでしょうね、彼のところへ行って上着をめくり、彼に胸をわしづかみされてサインしてもらいたがる女性を何人も見てきました。素人の女性が彼にとびかかって、キスして、彼に向ってポーズを取ったりね」

それでも一部の女優や見本市の参加者は、本人の同意なしで見本市で胸をさわられたり、指を挿入されたりしたと主張している。「中にはぜひ(触ってほしい)という人もいるでしょう」。元ポルノ女優で、見本市にもたびたび出演していた元アダルト女優のジェシー・ジェーンさんはこう語る。「でもそうじゃない女性も大勢います。私も実際にこの目で見てきました」。ジェーンさん自身はジェレミー氏から望まない接触を受けたことは一度もないそうだが、彼がたびたび「(女性たちを)わしづかみにして、触ったり、陰部をいじろうと」していたのを見たことがあるという。

Translated by Akiko Kato

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