ガービッジのシャーリー・マンソンが語る男性優位社会との闘い、パティ・スミスからの学び

パティ・スミスから学んだこと

ーあなたにとって、人生を生きる上で一番大事なルールは何ですか?

シャーリー:54歳になったけど、今の音楽の世界ではもう年寄りね。ここまでくると、楽しめないなら完全に興味ない、という感じよ。相手から不当な扱いを受けたら、立ち去るしかない。人生はクソ短いんだし、私の場合はもう3/4を過ぎた。だからひたすらいい人生、楽しい人生を過ごしたいわ。

ーあなたにとってのヒーローは誰ですか? その理由は?

シャーリー:ありとあらゆる意味で、私にとっての一番のヒーローはパティ・スミス。何より、彼女はあれほど華麗に、あれほど巧みに、しかもぶれることなく本物志向でクリエイティブな人生を送ってきた女性だもの。女性もアーティストも、今の音楽業界のルールに迎合しなくていいんだと彼女は証明してくれた。

女性にとって、70代でも現役で活躍している女性のお手本がいるっていうのはすごく貴重。私にとってもすごくワクワクするし、やる気になるし、希望が持てる。社会に存在する年齢差別や性差別、女性蔑視に直面すると、私はいつも心の中でパティを思い描くようにしている。そうすることで、本来の自分に立ち戻れるのよ。「OK、自分のルールに従おう。自分の人生は自分で作る。私が人生の設計者。きっとこの先もアーティストとして生きていける」ってね。私にとってはそれが人生。それが充実した人生なの。



ーあなたご自身も周りのお手本となる存在です。そうした責任にどう対処しているんですか?

シャーリー:正直、なんと言ったらいいかわからないわ。私は長いこと音楽をやってきたから、なんとなくなりゆきで、みんな触発されているんだと思う。どんなアーティストであれ、長くやってきたアーティストを見ると、みんなすごいって思うんでしょうね。「もう無理、と思ったら自分も立ち上がれる、ゼロからもう一度やり直せる」っていうメッセージだから。長く続けていることで、他の人たちの背中を押し、自分には無理だと思っていたようなやり方で、自分らしさを発揮させることができるのよ。

私もまっとうな人間になろうと努力しているわ。間違いもするし、周りを怒らせたりもする。馬鹿なことも口走る。何でも知ってるわけじゃないし、いろんな意味で世間知らず。でも、最善を尽くそうと努力している。それが自分にできるすべてだと思う。

周りからどう見られるか、というのは完全に私の力が及ばないこと。私のことをクソ野郎って思う人は必ず出てくる。人前に出る以上、それは仕方がないこと。とにかく嫌いだ、という人は出てくるから、あまり気にしないようにしてる。そういうのにとらわれないようにしているの。「何よ、うるさいわね。全員の心をつかむなんてできないわ」って境地にまで達したのね。

Translated by Akiko Kato

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