DYGLが語るポップに突き抜けた新境地、Ykiki Beatから再発見したこと

ー昨今はヒップホップとかシティポップが人気な一方で、ロックバンドは影が薄くなっている雰囲気を個人的に感じていて。そこに対して今作でパワーポップとかオルタナを再解釈するのは、その流れに対するアンチテーゼの意味合いもあったんですか?

嘉本:アンチテーゼってことはないし、何ならヒップホップとか自分たちがやっているものと違うものが出てくることで良い影響もたくさんあったりするので。次のアイディアにも繋がるから常に柔軟でいたいなとは思いますけどね。

下中:最近気づいたんですけど、ロックと括られるジャンルでも全然よくないって思うバンドとすげーいいなって思うバンドがいて。ヒップホップでも、好きなラッパーもいれば、あまり自分と合わないラッパーもいるわけで。そう思った時に、俺はなんて小さいことで悩んでたんだろうって気持ちになったんです。ロックが下火になろうがヒップホップが流行ろうが、栄枯盛衰じゃないですか。好きなものは僕の中でずっと好きだし、新しいものでも好きなものと嫌いなものが出てくる。その中で、自分で選んで影響を受けながらやっていくのが楽しいし、いいことなんじゃないかなって思います。昔だったら雑誌とかメディアがもっと皆に均等に情報を出していたと思うんですけど、今は自分が得たい情報を得る時代だから。好きなものや情報を自分で選んで制限できるというのはプラスに捉えて、ジャンルに強くこだわらずに考えるようになってきたかなと思います。

秋山:ロックの勢いが失われている空気は2010年代頭頃から思っていたんですけど、最近はむしろあまり思わなくて。なんならラップミュージックでも、ロックを再解釈して格好良く表現している人たちがいる。ロックは色んな形でアップデートされているんだと思います。だからアンチテーゼというよりはむしろ呼応して、触発されて、自分たちは自分たちでいい音楽を作れたらという感じですね。ヒップホップ対ロックみたいによく言われるけど、今はその枠組み自体がナンセンスだとも思って。敢えて意識するのも面白いけど、全体的にいい音楽が生まれていれば、それを楽しめば良い。それが一つの波のようになっていくこともあるし、また全然関係ない音楽が生まれるかもしれない。


秋山信樹(Gt&Vo, photo by Masako Hirano)

―なるほど。

秋山:ものを作る人がいること自体感謝なことなんだなってコロナ禍で強く思うようになりました。バンドやライブハウスが少ないと、相対的な視点も生まれにくくて、自分がどういう人間で、どういう創作をしたいかのヒントも見つけづらいかもしれない。自分には全然響かない音楽でも、自分はそれが好きじゃないって気づいた時点で、逆に自分が好きなものに気づけることもある。ものを作る人がたくさんいて、音楽がたくさん生まれていたら、必ずそれは何かのエネルギーになる。それはすごくいいことだなと思います。今世の中に溢れているものが必ずしも自分にとって良いものとは限らない。でもそれに違和感を感じたなら、強い意志を持って自分で何か作るんです。自分もそうありたいし、また何か新しくて面白いものが出てくるのが楽しみですね。



<リリース情報>



DYGL
3rdアルバム『A Daze In A Haze』

リリース日:2021年7月7日(水)
限定盤:5000円 (税抜)
通常盤:2500円 (税抜)
=収録曲=
1. 7624
2. Banger
3. Half of Me
4. Did We Forget How to Dream in the Daytime?
5. Sink
6. Bushes
7. Wanderlust
8. The Rhythm of the World
9. Stereo Song
10. Alone in the Room
11. The Search
12. Ode to Insomnia

配信リンクまとめ:https://DYGL.lnk.to/ADazeInAHazePR

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE