ー今作に流れる90年代、00年代のパワーポップみたいな空気感って皆さん共通して聴いてきたものなんですか?嘉本:僕ら全員が92年生まれで、最初に直に触れるカルチャーはやっぱり90年代のものとか00年代初頭のものだから、皆自然には通っているとは思うんです。僕は兄の影響でその頃のバンドとか好きですし、ギターをやりたいと思ったのがその時期のバンドの影響だったりもして。でも、それをDYGLに持ち込むのは、僕からしたらかなり新しいアプローチだったかな。今までは現行のインディー、或いはもっと前の60sとか70sの、僕らにとってあまりリアルじゃないものに寄っていた気がするんです。本来自分たちがテンション上がるような音楽とか、あまり人には言いたくないけど実は聴いている音楽を自分たちの音楽に持ち込むのは、かなり新しいアプローチだったと思います。
嘉本康平(Dr, photo by Masako Hirano)加地:リファレンスが出てくるのも早かった印象がありますね。毎回ある程度アルバムを作って、そこからアートワークを始める流れだったんですけど、今回は全部がわりと近いタイムラインで進んでいったので。アルバムを作り始める段階で綺麗にムードができてたのが、一番上手くいった気がしています。
ー僕も皆さんと同年代で中学校の時からギターをやっていたんですけど、当時洋楽を聴いて、バンドかっこいい、自分もやってみたいって思った感覚が蘇ってきてワクワクしました。1曲目の「7624」は嘉本さんが最初に持ってきた曲なんですよね?
嘉本:とにかくいっぱい作ったループの中から秋山が選んだのかな。
秋山:アルバムの方向がまだ決まってない時期に皆がデモを送ってくれたんですけど、かもちゃんは送ってくれた数が多くて。いくつか自分のムードとハマる曲があった中に「7624」もあったんです。それをこっちで広げたり、歌を入れて投げあいながらという感じでしたね。
ー歌い方もラップ感があるというか。秋山:これは言葉数かなり多いですね。最近のエモトラップに好きな曲が結構あって、あの寂しさと高揚感からは影響を受けたと思います。シンプルなんだけど今までの音楽とは違う感じもあって、あの感じを発明というか発見したやつすげーなと(笑)。あの感じをバンドとしてやってみたかった。全体的にやろうかなと思ったんですけど、結果的にこの曲だけ唯一それが分かりやすく入りました。