Panorama Panama Townが語る、音数に頼らないシンプルな楽曲への探究心

ードラマの脚本を読まれた上で、どのように楽曲制作を進めていったんでしょう。

岩渕:ドラマの中にギターをやっていたけど音楽を諦めてしまって、クラスでも退屈そうなキャラクターがいるんです。その子と自分を重ね合わせて、歌詞を書きたいなと思いました。僕も高校生の時に好きなバンドのことを話せる友だちが、周りにあまりいなかった。1人、2人ぐらいはいたんですけど、好きなバンドの話ができた瞬間って、こんなところにそんな人がいるなんてって、めちゃめちゃテンション上がるんですよね。大学1年の時、波越とタノと軽音楽部で出会ってPanorama Panama Townを組んだんですけど、そのことも思い出して。人生の中で好きなものを思い切り話せる人、分かち合える人と出会えることって限られてくると思うんです。そういう出会いによって支えられていることがいっぱいあって、その感覚を歌詞に落とし込みたいなと思いました。

ー自分と気の合う仲間に出会えてうれしかった経験が、自然と思い出されるような歌詞でもあるなと思いました。

岩渕:バンドを組んでから今までのことを考えていくと、高校の時に音楽を話せる友だちがいなかったら、大学でPanorama Panama Townのメンバーに出会ってなかったらとか考えると、偶然と必然で今があるなと思っていて。高校の時に音楽の話ができる友だちが1人もいなかったら、クラスで流行っているものばかりを好きになって終わっていたかもしれない。そういう時にみんなが話しているものに対して、ピンと来ないなと思いながら、自分の好きなものを「これどう?」って共有できる友だちがいたから今があると思っています。自分が歌詞にしたかったのはそういう部分です。

ータノさんと浪越さんも同じような経験はありますか?

タノ:高校の時はギターをやっていたんですけど、そんなにバッチリ趣味が合う友だちは少なかったんです。コピーバンドをしていたんですけど、大学に入ったらオリジナル曲をやってみたいなと思って初めて組んだのがPanorama Panama Townなんです。バンド自体にすごく救われているなと思います。

浪越:僕はもともと、元ドラムと岩渕、タノがいて、その3人に誘ってもらう形でバンドに入ったんです。その時の出会いがなかったら、今バンドをやっていないんだなとあらためて思うと、結構すごいことだなと思います。そこで僕以外の3人でやるって選択していたり、他のギターを入れてやる選択をしていたら、僕はこの場にいない。他のメンバーもどうなっているか分からない。歌詞通りの偶然の出会いが人生を大きく変えるんだなって、あらためて思いました。「Strange Days」も同じような境遇の人に届いたらいいなって思ってます。

岩渕:大学の時は音楽堂というスタジオがあって、そこに集まって、ずっと曲を作っていました。作っている場所の空気みたいなものも、曲と関係あるかもしれないです。僕はめちゃめちゃ明るい人間ではないので、高校生活や青春を描こうとする時、どこかクラスの中で噛み合わないところがあったことを思い出したり。そういう感じは「Strange Days」にも出ているのかなと思っています。バンドを始めた時にめっちゃ明るくないといけないんじゃないのかなとか、もっと考えずに感覚的に動けた方がいいんじゃないかとか、いろいろなことを考えていた時もあったんですけど、今は自分が生きてきた人生から出る音楽をやりたいなと思っていて。やっぱり、考えすぎるところもあって、生きづらいこともいろいろある。どんな人とでも分け隔てなく腹割って話せるような人間でもない。でも、ちゃんと好きなものを分かち合える人とはずっと一緒にいたい。半径何cmかの世界をすごく大事にしたいと思うようになりました。曲作りにおいても、バンドにおいても、同じ感覚があります。それを曲にも出していきたい。

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE