Chara、初の野音単独公演で響かせた自由で好奇心あふれる歌声

「今年は30周年イヤーということで、ちょっと昔の曲を歌っちゃうわ」と控えめに語ると、1991年に発売されたデビューアルバムから「Sweet」のイントロが鳴り響き、大きな拍手が起こった。プログラミングサウンドからフルバンドの生演奏へ盛り上がっていくプロセスは、30年の歩みを想起させるようでもあった。途中で衣装の一部が取れてしまっても「開放されたわ」と笑い、和やかな雰囲気に。「今日は日比谷の感じを半分楽しむ、音楽を感じるって楽しいじゃないですか」「新らしめの曲歌っていい? 恋の曲だよ」と「愛のヘブン」へ。Charaが22歳ごろに作ったデモをKai Takahashi(LUCKY TAPES)のサウンド・プロデュースで現代に甦らせたダンス・ミュージックだ。

続く1994年のシングル「あたしなんで抱きしめたいんだろう?」のイントロでは観客たちも手拍子で参加。ホーンとコーラス隊のアンサンブルが心地よく響く。演奏の間奏では高橋あず美とステージの上で女子トークをしたり、ギターのTAKUのキメ顔に触れてソロプレイをしたりするなど、メンバーたちとコミュニケーションを取っていく。さらには韻シストのアルバム発売を告知したり、「charaはお知らせがあるけどまだ言えないよ」と語ったり、竹本健一と制作した「Bubbles」をワンフレーズ歌ったり、まさに自由自在にライヴを行なっていく。そこからはバンド間の信頼関係や関係性が伝わってくる。続けて、1997年リリースの「ミルク」をアコースティックギターと鍵盤をベースにしっとりと歌い上げた。



1回Charaがステージから下がり再登場すると、アコースティックギターを手にしながら、ずっしりしたベースサウンドの上でしっとりとホーンが鳴り響く「70%-夕暮れのうた」を歌唱。少し日が落ちかけてきた中で印象的な鍵盤の音色が響くと、岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』に登場した無国籍バンドYEN TOWN BANDの「Swallowtail Butterfly〜あいのうた〜」、「上海ベイベ」を赤と青のライトに照らされながら歌った。観客はしっかりと耳を澄ませて楽曲を堪能した。

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE