松本隆トリビュートアルバムを亀田誠治とともに振り返る



田家:すごいでしょう? この曲の並び。三曲目は「SWEET MEMORIES」。1983年、作曲が大村雅朗さんです。ブックレットのインタビューの中で、「自分史的にこの曲は最重要曲だ」と仰っていましたね。

亀田:この曲は松田聖子さん、松本さん、そして欠かせない大村雅朗さんというアレンジャーがいらして。僕がアレンジというものに目覚めたのは大村雅朗さんがきっかけだったんです。大村雅朗さんが大澤誉志幸さんの「そして僕は途方に暮れる」という曲のアレンジをされていて、ある時街で聴いた時に、J-POPの中で聴いたことのないサウンドでなんてかっこいいんだろう! どうやったらこういうサウンドが生まれるんだろう! と思ってアレンジに興味を持ったんです。そこから大村さんは、松田聖子さん、渡辺美里さん、大江千里さんもそうですし、様々なヒット曲を生み出して。本当に悔しいんですけど、僕が一人前になる前に大村さんが亡くなってしまって、僕のリスペクトの気持ちを伝えたかったです。今回、松本先生の作品の中で、大村雅朗さんと一緒に作っている曲を絶対に入れたいということが僕の設計図の中にあって。ここの「SWEET MEMORIES」は躊躇なく選ばれたというところです。

田家:歌っているのはYOASOBIのボーカル・ikuraさんとしても活動するシンガーソングライター・幾田りらさんですとしても活動されていますが、この人を選んだというのが今回のアルバムのポイントの一つでしょうね。

亀田:今回のトリビュートアルバムは、僕の全亀田が投入されているんです(笑)。YOASOBIのikuraさんとAyaseさんとは昨年とあるトークショーで出会ったんです。その時に、この子たちは単純に再生回数やヒットしているということだけでなく、ちゃんとJ-POPや音楽のことを真剣に考えていて。YOASOBIというグループって、小説とのコラボだったり、企画の部分が取り上げられることが多いですが、実際の二人は全然違いました。ご本人たちの音楽へのピュアな姿勢があって、この子たちといつか一緒に音楽を作りたいなと思っていました。今回「SWEET MEMORIES」をカバーするにあたって、幾田さんが英語圏の帰国子女だということも話していたので、この曲は英語のバースもあるし、幾田さんが歌ったら最高になるだろうなと。あとは聖子さんの歌う粘り、色合いの強さとは違った透明な「SWEET MEMORIES」を幾田さんが歌うことによってお届けできるんじゃないかなと思いました。

田家:幾田さんの英語パートを心してお聴きください。「SWEET MEMORIES」。

Rolling Stone Japan 編集部

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