松本隆トリビュートアルバムを亀田誠治とともに振り返る



田家:流れているのは宮本浩次さんで「SEPTEMBER」。1979年の竹内まりやさんの曲で作曲は林哲司さん。

亀田:この当時の才女が歌うJ-POPみたいな(笑)。

田家:才女ね(笑)。この女性の歌を男性が歌うという組み合わせも選曲した時には頭にあったんですか?

亀田:これは宮本くんが去年から様々なカバーに取り組まれていて、僕もその活動をよく知っていたんです。バックステージで話したりもしていて、その中で松本先生の作品がすごく好きだと言っていて。「SEPTEMBER」を選んだのは宮本くんで、持ち歌というか彼のレパートリーの中にあったんです。

田家:ユーミンの「翳りゆく部屋」もカバーされていましたもんね。

亀田:そういう宮本くんなりの持ち歌というのがあって、じゃあ松本隆トリビュートでも是非歌ってくれないか、という流れですね。

田家:他の人だとこういう風には絶対ならない曲ですよね。

亀田:このアルバムの制作は、コロナ禍ということもあり打合せはリモートで進めていたんですけど、その中で宮本くんがPCの画面越しに「セプテンバァ〜ア♪」とワンフレーズ歌ってくれたんだけど、それがまりやさんの歌い回しを完璧に覚えていて、これはいけるなと思って。サウンドは一回僕に任せてくれと言いました。僕の中ではこの曲というか、アジアや欧米でジャパニーズ・シティポップとして今受け入れられているまりやさんの持っている、シティポップの本質をその時代にまで遡って提案できたらいいなと思っていて。今回は宮本くんの歌を聴かせたいから、今までのバンドサウンドを一回取っ払って。「カバーアルバムだもん、一緒にできるチャンスだよ」という僕の口説きも入れての流れです。この曲は、(山下)達郎さんだったらこの曲はこうしたんじゃないかという僕なりの遊び心も入れて。なので、80年代へのオマージュたっぷりのギターのカッティングで始まっているんです。この時代を作ってきた松本さんの周りの様々なアーティストの思いや魂、音楽性が溶け合っていく作品にしたいと思っていて、その代表格がこの「SEPTEMBER」ですね。

田家:それではトリビュートアルバム『風街に連れてって!』から4曲目、「SEPTEMBER」。

Rolling Stone Japan 編集部

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