ジャック・アントノフが語るブリーチャーズと音楽人生、テイラーも惚れ込むプロデュース論

ジャック・アントノフ(Photo by Erik Tanner for Rolling Stone)

 

ユダヤの血、プロデューサーとしての変化

ー「How Dare You Want More」には、コアなメッセージが込められているように聴こえます。多くの罪悪感が込められているようです。

アントノフ:“Be careful, don’t tempt the evil eye. Don’t try to have too good a life.”(気をつけろ、邪眼に魅入られるな/身の程知らずな生活を夢見るな)という感じだね。素晴らしい人生、素晴らしい家族、素晴らしい愛に恵まれたい、と望む僕の心の声だ。正に“how dare you want more”(これ以上望むとは何ごとだ)ということさ。

ー邪眼に魅入られるという考え方は、東欧のユダヤ人にも伝わっています。

アントノフ:ホロコースト。精神的に落ち込むよ。僕にもユダヤの血が流れている。転落へのくだらない道筋だ。自分の祖先について、「私たちはこんなひどい経験をしてきた。だから音楽でも何でも、あなたが望む道を進んでほしい」などと言われたら、なおさらそう思う。僕の2世代前は、殺されずに生き延びることが人生における大成功だった。だから生き延びられなかった人々のために、がんばるんだ。でも付け上がってはいけない。



ー最近は、あなた自身の作品もコラボレーター向けの作品も、よりオーガニックになっているように感じます。

アントノフ:そうだね、間違いない。違った表現や違ったものが出てくるからね。5年前の僕は、サンプリングを切り貼りしてマルチメディアPCで流すばかりだった。そんなやり方は、もう2年前から押し入れの奥にしまってある。気持ちを同じにする人が集まることで、僕が上手くやっていけるグルーヴが形成できるのだと思う。

何かを作り出す時には、欲するものがはっきりと見えていない状態の中でこそ、自分の価値が最も発揮される。例えば、ニュージャージー・サウンドに僕の方法論をミックスして、バンドで盛り上げて何かを生み出す感じだ。

僕もラナもテイラーも、それぞれがイメージを共有できた。ラナの作品もテイラーの『folklore』も、ブリーチャーズの今回のアルバムと全く異なるオーガニックの効果が出ている。でもどのプロジェクトも、「他の誰もできないようなことを始めよう。とにかく集まってプレイしよう」というようなところからスタートしているんだ。

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ーテイラー・スウィフトの作品をプロデュースするまで、あなたはプロデューサーになれないと言われていたというのは本当でしょうか? 映画監督を目指す脚本家のような感じですね。

アントノフ:テイラーの「Out of the Woods」(2014年)には全身全霊で臨んだ。何か大きな制作の仕事をしたいと思っていたところなので、ちょうどいいタイミングだった。彼女からのリアクションは、「リリースが待ち遠しいわ」という感じだった。僕は「それだけ?」と思ったが、彼女は「そうよ。パーフェクト」と言ってくれた。

それから突如、プロデュースの仕事が増えた。喜ばしいと同時に腹立たしくも感じたよ。なぜ自分がプロデュースの仕事と距離を置いていたかがはっきりしたからね。みんなまるで悪徳弁護士のようだ。お前は何を聴いているのか、という感じさ。僕の過去の作品が急に売れ出すなんてことが、何度も繰り返された。奴らが僕の楽曲を初めて聴いた時の評価を聞かせてやりたいよ。

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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