ジャック・アントノフが語るブリーチャーズと音楽人生、テイラーも惚れ込むプロデュース論

ジャック・アントノフ(Photo by Erik Tanner for Rolling Stone)

 

「有能なコラボレーター」であるために

ーラナ・デル・レイとの共同作業はいかがでしたか? あなたの他のコラボレーターとは全く異なる感じのアーティストだと思います。

アントノフ:全く違う。言葉で表現するのは難しいが、彼女と僕のやり方は全く異なるゾーンにある。目標へ向かうプロセスは皆それぞれだし、いろいろなことが起きるので、いちいち覚えていないことが多い。とにかく一緒に始めたら、とにかく何かをやってみることだ。でも、スタジオで成果を出す準備がこちらにできていない時は、彼女とは何も作業してはいけないことを学んだ。こちらの準備不足を彼女が悟ると、ドアが閉じられてしまうからね。彼女は気分を大切にするタイプのアーティストだ。

ー「Venice Bitch」は10分近い作品です。どのようなプロセスで完成したのでしょうか?

アントノフ:もっとビートを効かせた3分間のバージョンもあった。彼女と僕の曲作りの際に、プロセスはそう重要ではない。成り行き任せだ。彼女が「ドラムだけでやってみない?」と言えば、僕は「オーケー、やってみよう。ではアウトロを長くしてみたらどうだろう」という感じだった。僕のドラムは、正に音を楽しむ感じだ。ヘッドフォンをして長い時間をかけてプレイした。僕自身も演奏に参加できて楽しかった。「ここは静かに、ここはラウドに、ここはクレイジーに、ここはラリっている感じで」という風に進めていった。ラナも、このサウンドは「美しい」とか、これは「嫌な感じ」と言いながら楽しんでいた。




ー女性アーティストとのコラボレーションが多い理由を、何度も質問されたと思います。何か新たなアイディアを得ることがあったでしょうか?

アントノフ:インタビューを受けているという以外は、何も浮かばないね。

ーおそらく最も短絡的でくだらない回答は、妹を亡くした経験のあるアーティストが……というものかもしれませんが。

アントノフ:くだらないとは思わない。ただ、幼稚な分析だとは思う。この手の質問の多くに対する答えはない。むしろ多くの不思議があり、曲作りのプロセスにとって好ましい効果はあると思う。

ー他の誰にもあるように、あなたにもエゴがない訳ではないはずで……。

アントノフ:ありがとう、ブライアン(笑)。

ーお伺いしたいのは、有能なコラボレーターであるために自分を抑えて、パフォーマーとしてのエゴをどのようにやり過ごしているか、ということです。

アントノフ:曲作りが上手く進んでいる時は、自己を意識することはまずない。よくある誤解だと思う。次の曲がいつ来るか待たされることが多く、エゴを出すことによって対処してきたアーティストによく見られるのだと思う。自分を完全にコントロールできる人間などいない。ソングライターとは、毎朝目覚めて、ヒット曲が出ることを祈る人のことだ。上手く行かずにイライラすることもある。また時にはヒットして、ずっと成功が続く場合もある。1年かけても解けない難解なパズルのようだ。

ところがある日、友だちとランチしている時に、1年かけても浮かばなかったアイディアが瞬時にひらめいたりもする。僕の場合は、自分の曲を作る時も他のアーティスト向けの作品を作る時も、同じスタンスで臨んでいる。「自分はやり方をよく心得ているし、自分の一部になっている」という自信が入り混じった感じだ。それから、ものすごい好奇心も必要だ。自信と好奇心の両方を持つことができた時には、とことんまで突き詰めるべきだ。

From Rolling Stone US.




ブリーチャーズ
『Take The Sadness Out Of Saturday Night』
2021年7月30日(金)発売
試聴・購入:https://SonyMusicJapan.lnk.to/Bleachers_TSOSNRS

日本公式WEBサイト:
https://www.sonymusic.co.jp/artist/bleachers/

Translated by Smokva Tokyo

 
 
 
 

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