歴代最高のメタルアルバム100選|2021上半期ベスト

45位 - 41位

45
エクソダス
『Bonded By Blood』 1985年

スラッシュ四天王に比肩する最高傑作

メタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスの4バンドは俗にスラッシュ四天王と呼ばれるが、デビューアルバムとなる本作の破壊力からすれば、エクソダスはそれらのバンドと並べて語られるべきだ。懐疑的な奴らを力ずくで黙らせると宣告する「A Lesson In Violence」、流血するまでステージに頭を打ち続けろとファンに呼びかけるタイトル曲、そして悪魔に導きを求める「Deliver Us to Evil」でのパフォーマンスは、まるで何かに取り憑かれているようだ。一方、ギタリストのゲイリー・ホルトとリック・ヒューノルトの2人を中心としたアンサンブル隊は、「And Then There Were None」ではメロディックかつタフでいかついコーラスを聴かせる一方で、「Strike Of The Beast」や「Piranha」等のアンセムではしなる鞭のような超高速リフを繰り出す。K.G.



44

モトリー・クルー
『Shout At The Devil』 1983年

悪魔に喧嘩を売った一枚

『Too Fast For Love』でハリウッドのメタルシーンを席巻した2年後、モトリー・クルーは『Shout At The Devil』で世界(と悪魔)に喧嘩を売った。絵に描いたようなグラムルックのメンバーの写真はサッカーのチームを結成したニューヨーク・ドールズのようだが、前作と比較すると、そのサウンドはヘヴィさを格段に増していた。(説得力には欠けるが)罪に屈するなとリスナーに呼びかける扇動的アンセム「Shout At The Devil 」「Looks That Kill 」「Too Young To Fall In Love」等、バンドの方向性をはっきりと示したシングル曲は、ジューダス・プリーストを崇めるラジオ局と、ヘアメタル一色だったMTVの両方にアピールする魅力を備えていた。「当時の俺たちはすごくフラストレーションを感じてた」。ニッキー・シックスはアルバム発表の直後にそう語っている。K.G.



43
ジューダス・プリースト
『Stained Class』 1978年

メタルの歴史における重要な転換点

英国が誇るジューダス・プリーストの1978年作の本作は、バンドのキャリアだけでなく、メタルの歴史においても転換点となった。彼らは本作で、初期のプログレロック志向を完全に放棄する。スピード感とタイトさ、そして凶暴ぶりを増し、過去作に見られた装飾は削ぎ落とされている。同作でバンドはアメリカのチャートに初めて登場し、後に大きなうねりとなるブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの発端を生み出すとともに、英国のシーンがパンク一色ではないことを証明してみせた。「あの頃はバンドにとってすごくエキサイティングな時期だった。『俺たちはメタルバンドであり、これが俺たちの出したい音だ。目にもの見せてやる』って感じだった」。ロブ・ハルフォードは、2011年にClassic Rock誌にそう語っている。D.E.



42
ダイアモンド・ヘッド
『Lightning To The Nations』 1980年

ハードロックの汗臭さと装飾を剥いだ

1980年の発売当初は曲名の記載がない真っ白のスリーブが採用されていたダイアモンド・ヘッドのデビューアルバムは、同年に発表されたブリティッシュ・ヘヴィ・メタルの歴史的名作のひとつに数えられる。サクソンやデフ・レパード等のライバルたちと同様に、ダイアモンド・ヘッドはハードロックの汗臭さと装飾を剥ぎ取った。簡潔にまとめられた楽曲も手伝い、シーン・ハリスの憂いを帯びたヴォーカルと、スタジアム級のギターリフを繰り出すブライアン・タトラーによるコンビは、レッド・ツェッペリンのペイジとプラントへの回答と評された。2人の手による「The Prince」や「Sucking My Love」、そして超絶リフをやすやすと弾きこなしている「Am I Evil?」等は、まるでオーケストラ曲のように緻密に構成されている。I.C.



41
カイアス
『Blues For The Red Sun』 1992年

ジョシュ・オムの原点

多くのギタリストは耳をつんざくような重低音にただ酔いしれるが、カイアスの結成メンバーであるジョシュ・オム(のちにクイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジのリーダーとなる)のアプローチは科学者を思わせる。オムはバンドのソングライティングのルーツとして、かつて地元カリフォルニアのパームデザート郊外の砂漠で行われていた「発電機パーティ」(ガスを燃料とする発電機から電気が供給されていたことにちなんでいる)を挙げている。ダウンチューニングとベースアンプを駆使する、粉々に粉砕されたベルベットのようなファズギターのサウンドは、脅迫的なまでにラウドでありながらも気品を漂わせている。カイアスのサウンドの核が常にオムだったことは疑いないだろう。J.D.C.



Translated by Masaaki Yoshida

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