歴代最高のメタルアルバム100選|2021上半期ベスト

15位 - 11位

15
オジー・オズボーン
『Diary Of A Madman』 1981年

オジーとランディの魅力を凝縮した2nd

本作のリリースツアー中だった1982年に飛行機の墜落事故でこの世を去ったギタリストのランディ・ローズは、前作でもその圧倒的スキルを存分に発揮していたが、本作ではテクニックと優れたソングライティングをより高次元で結びつけることに成功している。アコースティックなイントロと迫力に満ちたエレキギターのパッセージが冴え渡る「Diary Of A Madman」こそ、オジーの魅力が凝縮された究極の1曲だ。「あの曲を作ってた時、ランディが『ギターのパートに納得がいかない』って言うから、気が済むまでやればいいって言ってやった」。オズボーンはそう語っている。「それから数日間、やつはスタジオにこもりっぱなしだった。ようやく出てきて弾いてもらった時、首の後ろの毛が逆立つのを感じたよ」K.G.



14
ブラック・サバス
『Vol. 4』 1972年

よりヘヴィな音楽性を追求した4作目

デビューアルバムからわずか2年後に発表された4作目。1971年作『Master Of Reality』で、トニー・アイオミは指の負担を軽減するためダウンチューニングを用いたが、本作ではその手法が逼迫感に満ちたエモーショナルなリフ(「Wheels Of Confusion」)、暴れまわる奔放なグルーヴ(「Supernaut」「Cornucopia」)、そしてアイコニックなギターソロ(コカインのアンセム「Snowblind」)を生み出した。バンド史上初のピアノバラード「Changes」(オジー・オズボーンは1993年にソロとして同曲のライブバージョンをヒットさせる)、アコースティックギターのソロをフィーチャーした「Laguna Sunrise」、そして99秒間にわたってエコーのかかった電子音が乱れ飛ぶドラッギーな「FX」(後年に活躍するニューロシス等のアート志向で型破りなバンドに大きな影響を与えたと思われる)等も印象的だ。K.G.



13
アイアン・メイデン
『Iron Maiden』 1980年

NWOBHMの転換点

1970年代末、俗にNWOBHM(ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル)と呼ばれるムーブメントが、スピードとメロディと攻撃性を徹底的に追求したスタイルでメタルのシーンを活性化させた。黎明期にあった同ムーブメントの転換点のひとつは、アイアン・メイデンのバンド名を冠したデビューアルバムだった。スティーヴ・ハリスのスピーディな指弾きが生み出すベースラインはリズムセクションというよりもメロディ楽器として機能し、タフな唸り声を武器とするポール・ディアノをフロントマンに据えたバンドは、攻撃的な曲(「Prowler」「Running Free」)だけでなく、ムーディなトラック(「Remember Tomorrow」「Strange World 」)や、ジェスロ・タルを思わせるドラマチックな「Phantom Of The Opera」など、多様な作風も魅力のひとつだった。A.B.



12
ジューダス・プリースト
『Screaming For Vengeance』 1982年

バンドによるシーンへの復讐劇

タイトルが示しているように、ジューダス・プリーストがその実力を世界に知らしめた本作は、まさにバンドによるシーンへの復讐劇だった。かつてアンダーグラウンドな存在だった彼らは、何百万枚ものレコードを売り上げ、Billboardチャートにシングル(「You’ve Got Another Thing Comin’ 」)をランクインさせ、アメリカでのフェスティバルでヘッドライナーを務めるまでになった。「新たな時代の到来を感じていた」シンガーのロブ・ハルフォードは後に本誌にそう語っている。「気づけば多くの人が俺たちの音楽に共感してくれるようになっていた。『俺はこの音楽に自分の姿を投影できる。俺の目標や生き方のことを歌っているように感じる』そんな風に言ってくれるんだ」。また本作では、愛も大きなテーマとなっている。J.D.C.



11
メタリカ
『Ride The Lightning』 1984年

ヴィジョンを最も明確に示した2nd

メジャーレーベルとの契約前に制作されていたメタリカの2ndアルバムは、独自のサウンドを確立したバンドのヴィジョンを最も明確に示すレコードだ。やがて訪れるであろう核の悲劇を描いた「Fight Fire With Fire」や、全ての生物の最初の子供は神の意志によって殺されるという『出エジプト記』の一節をモチーフにした「Creeping Death」等では、アドレナリンの噴出する音が聞こえてくるようだ。のちに「One」等でさらに磨きがかかる、バンドのダイナミックな一面を体現したダークなパワーバラード「Fade To Black」や、アルバムの最後を飾る不吉なインストゥルメンタル「The Call Of Ktulu 」も秀逸だ。「あのレコードのサウンドは気に入ってるよ、まるで風化していないからね」。カーク・ハメットは2014年に本誌にそう語っている。T.B.



Translated by Masaaki Yoshida

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