ホイットニー「カントリーロード」カバーに感じる匠のドラム、鳥居真道が徹底考察

この曲は、ホイットニーが2020年にリリースしたカバー曲集の『Candid』に収められた音源です。きっとご存知でしょうが、原曲はアメリカ人シンガー・ソングライターのジョン・デンバーが1971年にリリースしたシングルです。邦題は「故郷へかえりたい」。



日本ではジブリ映画の『耳をすませば』で印象的な使い方をされていることでおなじみです。学校教育の中でもポピュラーな曲だといえます。私も中学生の頃に合唱コンクールや英語の授業でも歌ったような記憶があります。このような受容の歴史もあり、日本人からするとあまりにもベタであるがゆえに、ややこっ恥ずかしいような選曲にも思えます。しかし不思議なことに、聴いていてもまったく照れくさくならない。素直にいい曲だあ~と感じられます。

ホイットニーの音源を聴き、秒で感じたこと。それは、「ドラムうま……」ということでした。重心が低くビートが安定しているから安心して曲のリズムに体を預けられます。さらに、手数を抑えてひとつひとつの音を躍動させることに注力するスタイルにも好感を持ちました。音量や音色のコントロールにも気が行き届いていて、意外なところに匠がいた! と驚いたのでした。一音一音、気持ちの良い音で淡々と演奏しながら静かに躍動を生むといったスタイルはクルアンビンのドラマーDJに近いかもしれません。

Rolling Stone Japan 編集部

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