ピンク・フロイド初来日の衝撃とは? 「箱根アフロディーテ」目撃者が語る真相

『50周年記念盤』発掘映像と貴重資料

さて、その箱根アフロディーテから50周年を記念して今回リリースされる『原子心母(箱根アフロディーテ50周年記念盤)』は、何と言ってもその伝説のフェスで初来日したピンク・フロイドの、新発掘映像を追加したBlu-rayが話題だ。羽田空港到着時から記者会見、箱根のステージの模様も収録したドキュメンタリー映像は、過去にテレビ埼玉で放映されたものと内容は同じだが(※)、今回はそのオリジナルの16mmフィルムの発見を機に、長い年月をかけてフィルムの汚れやノイズを取り除き、最新技術で一コマずつデジタル化したことで別物と言っていいほど鮮明なカラー映像が甦ったのが注目される。まるで当時の記憶がモノクロからいきなりカラーになったような驚きをBlu-rayで味わえるはずだ。加えて機材の運搬やステージの設営風景をピンク・フロイドの機材スタッフ2人の仕事ぶりを中心に追った3分間の映像資料「Scott & Watts」も、今では貴重な当時の記録となっている。

※過去にテレビ埼玉で放送されたライブ映像の音源は、アフロディーテのものではない別のライヴ音源に差し替えられていたが、『50周年記念盤』では実際のアフロディーテにおける演奏が用いられている。




その他に特典として、未発表写真を掲載した60ページのブックレットや、アフロディーテのチケットとパンフレット、会場案内図や大阪公演のポスターを復刻したものが封入されている。中でもピンク・フロイドと箱根の会場に特化した60ページの写真集は、今回初めて見るメンバーの珍しいスナップ写真を中心に、舞台設営の大変さが垣間見れる記録写真が満載で、見応えのある貴重なドキュメントとして楽しめる。

更にもう一つの特典として、『追憶の“箱根アフロディーテ1971”』とタイトルされたデジタル・ブックレットにアクセスし、日本初の音楽フェスを巡る当時の詳細な記録を読むことが出来る。こちらは実際にアフロディーテに関わった亀渕昭信さん他、ニッポン放送の制作スタッフの方々の裏話、立川直樹さんや伊藤政則さんの箱根体験記、また箱根の後、1日だけ行なった大阪フェスティバル・ホールでのコンサートを観た音楽関係者の体験談、当時PAを担当した日比野音響の代表の話など、興味深い読み物が満載となっている。

この夏、箱根アフロディーテを体験した幸運な人もそうで無い人も、50周年の節目に『原子心母』と伝説のフェスの映像を観ながら、日本に於けるロック・コンサート元年と言ってもいい1971年に想いを馳せてみてはいかがだろうか。

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