韓国生まれ東京育ちのkim taehoonが語る、現代のボーダーレスの在り方

ー価値観がこの5年くらいで大きく変わっていて、自分も知らないうちに変わっているなとすごく感じることが多いんです。例えば、今日めちゃくちゃ暑かったじゃないですか。歩いているときに女の子が日傘を差しているのを見て、自分も差したいなって初めて思ったんですよ。自分でも思いがけない価値観の変化を受けているなと。ただ、これまで培われた社会のシステムは頑丈だから、価値観の変容をそのまま今の社会に当てはめると歪みも出てくるのかなと思っていて。そういう部分で、どうやって生きていけばいいのかなとすごく考えます。

実はぼく、だいぶ前からネイルを塗っていたり、女性の服を着たりするのもすごく好きなんですけど、最近はメイクにも興味が湧いてきて。でも、やっぱり周りはすぐ受け入れてくれないというか。特にお父さんお母さん。いい例え話になればいいなと思うんですけど、kimは父と母という社会の中にいる。で、kimが社会に反した化粧とか価値観の変容をしようとすると、「なんだそれ、男が化粧するなんて違うよ」と言われる。最初は意地もあってただ反抗していましたが、兎にも角にも「これが当たり前」だということをアピールし続けました。すると不思議なことに、少しずつ受け入れてくれるようになったんですよね。ネイルも最初はめちゃめちゃ怒られたんですけど、いつの間にか「その色はちょっと違うね、前の方が良いよ」ってなった。化粧品ばかり集めていたとき、最初は「あんたそのお金でお父さんのお酒買ってきなさいよ」と言われていたのが、「今日肌のノリよくない?」と言われたり、関心を少し持ってくれるようになってきた。積み重ねじゃないですけど、現社会においても、口やトレンドだけではなく、少しずつどんな多様性も受け入れられるようになっていけばいいなと思いますね。

ー反応を見て辞めてしまうのではなく、続けていくことが大切だと。

ぼくが化粧をしているのに自信なさそうに恥ずかしそうにしてたら、受け入れる側も反発が強くなっていくじゃないですか。そこのスタンスというか表し方は大事なのかなとは思いますね。

Rolling Stone Japan 編集部

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