米女優の変死、ポルノ業界の「病巣」と薬物依存

加速する妄言と暴力

もうひとつ問題だったのが、スカイが徐々に予測不能な行動をとるようになったことだ。彼女はよく妄想に襲われ、暴力的になり、性的虐待や暴行を受けたと言って人々を責めたり、影の勢力が自分を付け回して命を狙っていると主張した。一度などは、ルコント-ゴーブルはケネディ一族の1人で、自分も命を狙われていると友人のエヴァンス氏に語った。別の友人に電話して、家の中に隠しカメラを仕込んだこと、恋人が自分に売春させているのではないかと心配なので行動を逐一記録していることを語ったりもした。「本当におかしなことを口走っていました。彼女と仕事したことのある業界の人間は、彼女の扱い方をよく心得ていました」とエヴァンス氏は言う。「彼女が薬物依存であること、理路整然としていたとしても素面とは限らないことをわかっていました。数年間、彼女はそんな状態でした」。一時期はポルノ男優ロン・ジェレミーにレイプされたと主張した。エヴァンス氏によれば、ロサンゼルス警察がジェレミーの捜査でスカイに供述を依頼すると、最初は彼女も同意したが、後になって協力を拒んだという(ジェレミー被告は現在、他の性的暴行容疑で懲役330年を求刑されている。ローリングストーン誌は同被告の弁護士にコメントを求めたが、返答はなかった)。

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2017年6月、スカイは家庭内暴力を理由にフロリダ州ピネラス郡で逮捕された。ピネラス郡の裁判所記録によれば、スカイは早朝4時55分ごろ、当時付き合っていた恋人をセックスのあと「下唇が切れて腫れ上がるまで」殴ったという。「ドラッグに駆られた激情です」と、事件についてブラッドリーさんは言う。翌月、その恋人は不起訴を申請し、裁判所はこれを認めた。その後2年間でスカイは少なくとも6回リハビリ施設に通ったが、ルコント-ゴーブルさんいわく、たいてい数日後には自主退院していた。どれも長くは続かなかった。数週間薬を断った後、再びエージェントや広報担当者やセレブの取り巻きらの家を転々として、結局は路上生活に舞い戻った。「深夜遅くや早朝に電話がかかってくることもありました。彼女が取り乱しているのは明白でした」とブラッドリーさん。「旦那さんも、彼女の所在が分からないとよく言っていました。ダコタから目を離さずにいるのは一苦労でした」

スカイの窮状はポルノ業界のゴシップブログの格好の標的になった。メインストリームのゴシップブログ同様、彼らは堕ちたスター俳優の苦難に飛びついた。「ダコタはいつも僕らがおもしろがるソーシャルメディアの大惨事だ。本サイトは彼女の動向を見守る一方、彼女がしかるべき助けを得られるよう願っている」 2019年、スカイのリハビリ施設入院のツィートをうけて、あるゴシップブロガーはこう書いている。入院から数カ月後、彼女はバーバンクの裁判所で麻薬等運転の罪で有罪を認めた。だが、精神疾患やソーシャルメディアでの破天荒ぶりがゴシップの格好のネタになっても、彼女は役を演じ続けた。

Translated by Akiko Kato

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