松本隆と振り返る、トリビュートアルバム『風街に連れてって!』



田家:今流れているのはトリビュートアルバム『風街に連れてって!』2曲目、「君は天然色」。歌っているのは川崎鷹也さんです。川崎さんが歌ったのを聞いたときにはどう思われました?

松本:本当にトップで声が伸びて芯もあるし、シンガーとして言うことなしですね。こんな新人がこれからデビューするので詞を書いてくれってもし言われたら、喜んで書きますね(笑)。

田家:1981年、大滝詠一さんのアルバム『A LONG VACATION』の中の曲です。川崎鷹也さんはSNS世代の象徴で、バイラルチャートという言葉を僕はこの人で知ったんですけど、ストリーミング再生のランキングで。

松本:僕は今でもわかりません(笑)。すごい数なんでしょう?

田家:この曲は大滝さんの曲の中で最もカバーされている一曲ですもんね。ロンバケの40周年の時に、松本さんが色々なエピソードをお話しになっていて、その中で松本さんが妹さんを亡くされた時のエピソードもありましたね。

松本:妹は生まれた時から心臓が弱くて、いつ死んでもおかしくないと言われていて。それでも26歳まで生きたんですけど、その年に大滝さんが新しいアルバムの歌詞を書いてくれって言ってきて。妹はほぼ同時期に亡くなってしまって、僕も詞を書けなくなって。それで、一回直電で断ったんです。そうしたら、書けるようになるまで待つからということで(笑)。

田家:大滝さんとは、1973年のはっぴいえんどの3枚目のアルバム『HAPPY END』の「外はいい天気」以来のコンビで。歌詞のやりとり最初電話で行われたと大滝さんは話してましたね。

松本:あの頃はファックスがなかったかもね、よく覚えてないけど。(鈴木)茂の「砂の女」とかは完全にファックスがない時代で、アメリカでずっと電話で話して。当時のアメリカの国際電話ってものすごい値段で、一曲分の歌詞を組むのに15万円とか。今だと考えられないよね、今はメールでタダなんだから。大滝さんの時はどうだったろうね。

田家:「カナリヤ諸島にて」を電話で初めて聞いたときは身体が震えたって大滝さんが仰ってました。

松本:あの人はあまり本人を褒めないからね(笑)。

田家:そういうアルバムのレコーディングの最初の曲はこれだったという記述もありました。お聴きいただくのは、大滝詠一さんのオリジナル版「君は天然色」です。

Rolling Stone Japan 編集部

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