松本隆と振り返る、トリビュートアルバム『風街に連れてって!』



田家:今回川崎さんと大滝さんの声の違いが、こんなに歌の表情を変えるのかという印象でもありました。

松本:大滝さんのは永遠の青春ですよね。でも本人は当時30歳を超えていて、恥ずかしそうに歌っていたんだけど、鷹也くんは歌詞の主人公の年齢にぴったりですごく合ってる(笑)。こんなこと言うと天国から怒られるかもしれないけど。大滝さんには大滝さんの良さがあって、鷹也さんの良さもあって。最初、川崎さんにテレビ局の廊下でばったり挨拶されてさ。僕も「君は一生音楽で食えるから」って言ったんだけど、なんであんなこと言ったんだろう。余計なお世話だよね(笑)。でも直感的にそう思ったんだよね。

田家:「魔法の絨毯」はいい曲ですからね。大滝さんは当時いろいろな声色で歌っていたというエピソードもありますけど、大滝さんの歌はどう思われているんでしょうか?

松本:どの声が彼の本当の声かよく分かんない(笑)。彼は最初に会った時から、誰の声でも真似ができると言っていて。最初細野さんはバッファロー・スプリングフィールドをやりたいって言ってたじゃん? だから、大滝さんはスティーヴン・スティルスの真似も上手いし、ニール・ヤングの真似も上手い。だから、どの声が本当の声か分かんないけど、僕が思うにはカスケーズの「悲しき雨音」ってあったじゃん。カスケーズの歌を聞いた時に大滝さんそっくりだなと思って、あれが彼の本当の声だと思う。

田家:そういう話も今度機会があればゆっくりさせていただけたらと思っております。

Rolling Stone Japan 編集部

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