松本隆と振り返る、トリビュートアルバム『風街に連れてって!』



田家:亀田さんは、大村雅朗さんに出会ってからアレンジャーになろうと決めたらしいですね。大澤誉志幸さんの曲を聴いて。松本さんは大村さんを弟のような存在だと仰っていましたね。

松本:大村くんはすごいアレンジャーだったよ。松田聖子のプロジェクトの中で、僕は詞を書くこと。あとは全部大村くんがやってくれて、100%信頼しているし、間違ったことはほとんどしなかったと思うね。大体アルバムに1、2曲は彼の作曲があって、それにすごく詞をつけられるの。自分ではあんまりそんなに意識して書いてないんだけど、出来上がったらこれいい詞だなと思うと、作曲に大村雅朗って書いてあって。なんだろうなあって(笑)。僕にとって大好きな曲がたくさんあるのね。

田家:この「SWEET MEMORIES」もその一曲だと。

松本:「SWEET MEMORIES」もそうだし、「真冬の恋人たち」、「セイシェルの夕陽」とかね。

田家:「SWEET MEMORIES」は、こんなに大人っぽい歌を聖子さんが歌えるだろうか、と当時は大村さんも松本さんも思われたと。

松本:信濃町のカフェでディレクターの若松宗雄さんに、大村くんのカセットテープに入っているデモテープを聞かされて。「これ聖子歌えるの?」って訊いたよね。ジャズだから。でも、CMもジャズっぽい感じで仕上げたいからということで、じゃあ一応詞を書いてみようって書いてみたら、すごく良くなって。両A面だったけど、最初はA面が「ガラスの林檎」でB面は「SWEET MEMORIES」だったけど、曲の人気が出てきてB面じゃ済まなくなって、これをひっくり返さないといけないと暴動でも起きるんじゃないかってくらいチャートにも上がってきて(笑)。

田家:なるほど。

松本:若松さんもひっくり返さないと連続一位が止まるんじゃないかとドキドキしたりしてさ。たぶんひっくり返してももう一回1位取れるよって言ったら本当に取っちゃって。それくらい良い曲だと思います。

田家:大村さんのカセットを聞いて、松本さんが書いた、英語の部分が日本語のままの原詞が発見されて。それが彼女の40周年記念版として発売されました。お聞きいただいたのは「SWEET MEMORIES」でした。

Rolling Stone Japan 編集部

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