松本隆と振り返る、トリビュートアルバム『風街に連れてって!』



田家:1979年の竹内まりやさんの歌「SEPTEMBER」、今回はエレファントカシマシの宮本浩次さんが歌っております。この曲はいかがですか?

松本:最高ですよ。褒めるしかないですね。

田家:改めて思ったのですが、女性が歌う曲に書く詞と男性が歌う曲に書く詞は、やはり違うところがおありになるんでしょう?

松本:基本的には違うんだけど、宮本くんは完全に女のままの詞で歌えちゃう。あれはやっぱり新人類なんだよね。

田家:まりやさんと同じように歌ってるところもありますもんね。

松本:それでいて全然自分らしさも出してるしね。

田家:この曲の作曲は林哲司さん。林哲司さんは、まだ作曲家としてあまり実績がない時に松本さんが起用されたんですよね。

松本:よく覚えてないけど、重要な作曲家だったよ。松原みきさんの「真夜中のドア」で再評価されて、僕はとても嬉しい。

田家:聖子さんでは新しい作曲家を起用していった。松本さんが新しい人を起用することで聖子さんの音楽のグレードが上がっていったという評価もありますが、新しい作曲家に対してのアンテナはずっとあったという。

松本:いやそんなものはなくて、僕は自分の詞に合う曲をつけてくれる人が好きで。合わない人もいるんだよ、当然。そういう人にかち合わないように生きたいなと思って、はっぴいえんど系の人は皆合うじゃん。筒美京平さんもこっちに渡ってきた人だし、てっちゃん(林哲司)とかは最初からこっち側にいるみたいだし。そういう自分がやりやすい人たち、あとは僕の生きるポリシーとして、自分が得したら周りの人も潤わないといけない、そういう方法論で20歳から生きてるから。僕はドラムだったから、縁の下の力持ちで良かったわけだよ。

田家:なるほど。宮本浩次さんのカバーした「SEPTEMBER」も元々はこういう曲でした。竹内まりやさんで「SEPTEMBER」。

Rolling Stone Japan 編集部

Tag:

RECOMMENDEDおすすめの記事


RELATED関連する記事

MOST VIEWED人気の記事

Current ISSUE