松本隆の作品に通底しているもの、トリビュートアルバムを本人と振り返る



田家:今お聞きいただいてますのは、アルバム10曲目「ルビーの指環」。歌っているのは横山剣さん。オリジナルは1981年の寺尾聰さんでした。

松本:この曲はね、異常に売れすぎた(笑)。ずっとベスト10で1位でさ。

田家:オリコンで10週、ザ・ベストテンで12週ですね。

松本:12週って3ヶ月じゃん。3ヶ月間1位から降りないってすごいよね、ありえないよね。

田家:横山剣さんは、クミコさんの2017年のアルバム『デラシネ déraciné』の中の「フローズン・ダイキリ」という楽曲で、作曲で参加されています。横山さんは1960年生まれで細野さんフリークでした。

松本:YMOが好きだったの?

田家:YMOの前。細野さんのアルバム『泰安洋行』が出た時の横浜中華街キャンペーンを見に行っている少年だったと言ってましたよ。

松本:まじで(笑)。あれには筒美京平も行ってたんだって。でも僕は誘わないで、橋本淳を誘って行ったって(笑)。

田家:GS時代の盟友作詞家ですね。

松本:僕を誘っていくと、僕と細野さんが仲良いの知ってるからまた嫉妬しちゃうのかもしれないけど。

田家:細野さんに気を遣ったのもあるかもしれないですね。

松本:細野さんには気を遣ってないと思うんだよね、まだ面識ないもんね。一度も話してないんじゃないかな? 一回(吉田)拓郎と京平さんが接近遭遇したことがあって。それは周りの心臓が10分くらい止まりそうになってたって(笑)。

田家:水と油(笑)。亀田さんは、大人のダンディズムを歌うのはこの人しかいないと横山剣さん一択でお願いしたと。寺尾さんは世代が近いんですよね。寺尾さんは1947年生まれ、松本さんは1949年生まれ。ともに30代になったばかりが当時だった。松本さんははっぴいえんどをやろうと思った、と仰ってました。

松本:僕の中学の時に「勝ち抜きエレキ合戦」っていう30分くらいのテレビ番組があって、毎週見てて。ちょうどビートルズがデビューした頃で、寺尾さんのバンド・サベージは、シャドウズのコピーバンドだったのね。僕はその後高校時代にはシャドウズのコピーバンドやってたりもして、追っかけてるわけ。それはサベージに影響されてというわけじゃなくて、リードギターがそれしか弾けなかったというだけの理由なんだけどさ。細野さんはシャドウズやりたくないから、もっと新しい音楽やろうって言ってね。それで、サンフランシスコのサイケデリックな音楽をやりたがってたの。そんな僕の高校時代の思い出があるので、寺尾聰って言われると心騒ぐものがあるよね。

田家:なるほど。松本さんがドラムコンテストで優勝されたというのは、シャドウズのコピーバンドだったんですか。

松本:そうそう、高校2年の時だと思うんだけど、全国1位をとったんだ。「ヤング720」っていう若者向けモーニングショーみたいな番組があって、司会をやっていた北山修さんの前でドラムソロやったことがあるんだよね。で、そういうのも全部探してみるんだけど、全然情報出てこないね(笑)。

田家:そんなこともありながら、寺尾聰さんの原曲をお聞きください。「ルビーの指環」。

Rolling Stone Japan 編集部

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