甲本ヒロトが語る「あきらめる力」と「夢は叶う」の意味

―「ドライブ GO!」のB面「千円ボウズ」はヒロトさんの作詞作曲ですが、後半に「電撃バップ」のオマージュが出てきたりして楽しい曲です。

何もかも、自分たちが今まで聴いたものがどこかに顔を出します。それはもう、しょうがない()

―これはどんなときに出来た曲なんですか?

覚えてないんですよ。答えたくないとかじゃなくて、本当に覚えてないんです。気付いたら、あるんですよ。作ろうと思って作れたらそんなにいいことはないけど、作ろうと思ってもなかなかできないんです。でも、気が付くと、あるんですよ。それで「よかった~
、まだできた!」って思うんです。

―何日も曲ができないときもあるんですね。

何日どころか、1年間通したってそんなにたくさんできないよ。それで発表するのがこれぐらいの数の曲なんです。

―曲や歌詞をメモしたり録音しておくこともありますか?

やることもある。でも大抵、駄作です。書いてるのを見て、「うわっよくこんなのを発表する気になったな」と思って、書いたやつはだいたい使わないです。あと、レコーダーとかを持って歩くんですよ。それで「あっ思いついた!」と思ってパッと歌うんだけど、後で聴いてみると、「よくこれが良く思えたな?!」って()。そう思うのが常ですね。

―夜中に書いたラブレターを朝見て恥ずかしい、みたいなことでしょうか。

そうですね。ラブレターって、目的があって書くものじゃないですか?そういうものはね、やっぱりつまらないです。「誰かに何かを伝えようとしている」それだけでもう、つまらない。

―何かを伝えようとして曲を書いているわけじゃない?

「何かわからないけど、うわ~面白い!」って、それがいい。例えば、誰かに伝えたいことなら、ちゃんと顔を見てその誰かに伝えればいい。不特定多数に出す曲なんだから、誰かなんか想定しないで、ドーンと歌うんです。

―これを誰かに伝えたい、と思ったときはどうしますか?

そんなとき歌なんか歌わないよ。直接会いに行って伝える()

―上手く伝えられないから歌にする、みたいなことはしないですか。

しない。伝えられないことは、伝えられないんだ、ずっと。でも、それはそれでいいじゃん?人間同士、伝えられないことがあってもいいじゃないですか。完璧に伝わるなんて気持ち悪いし、「あのとき伝えられなかった」っていうのも、自分の中の喜びじゃないですか。

―楽しい、ということじゃなくて怒りをぶつけたいっていう感情のときはどうしますか。

怒りを発信すること、「この野郎、てめ~!」って言ってるのだって、楽しいじゃん()。そういうことですよ。

―なるほど、歌うことで怒りを発散してるんですもんね。

そう、誰かを攻撃するための歌なんてないよ。あと、ロックンロールはカッコイイんだよ。ロックンロールはカッコよくて楽しくて、ロマンティックで、切なかったりする。でも全部楽しいって僕は思う。理由はわからないけど、なんか楽しい()

Rolling Stone Japan 編集部

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