ザ・スパイダースが与えたシーンへの影響、当時のプロデューサー本城和治と振り返る

どうにかなるさ / かまやつひろし

田家:作詞が山上路夫さんです。かまやつさんのソロについてはどう思われていました?

本城:この曲に関して言えば、これは彼のセルフカバーなんですよね。元々はザ・タイガースのサリー(岸部修三)とシロー(岸部シロー)のアルバムに、かまやつが提供した2曲のうちの1曲で本人も気に入っていて。僕はこういう曲があったって知らなくて。でも提供してすぐにこのカバーを出したんですよ。

田家:かまやつさんがこの曲やりたいんだよって持ってこられたという。

本城:そんな記憶がありますね。これもいいなあって思ってやった記憶があります。

田家:かまやつさんは19702月にソロの一枚目のアルバム『ムッシュー/かまやつひろしの世界』を発表して、日本のレコーディング史上初の多重録音のアルバムとなりました。

本城:いきなりできたんじゃなくて、その前にザ・スパイダースのアルバムの「ミスター・タックス」かな? それでも多重録音を試みていたんですよ。ソロアルバムの収録曲「ムッシュー&タロー」でもやっていましたね。

田家:その時はかまやつさんの方から多重録音でやりたいという話があったんですか?

本城:そうですね。そういうのを取り上げたいって言うから面白いんじゃないって言って。「ミスター・タックス」でやって面白かったので味をしめて、スタジオの空いた時間を使って一人多重録音でアルバムを作り上げたんです。

田家:かまやつさんが多重録音でやりたいと言った時はどう思われました? できるのかなとか思いました?

本城:心配はあまりなかったですね。当時はマルチレコーダーがありましたし、十分可能でしたので。なんの心配もなくお任せしました。

田家:かまやつさんの話は来週以降もお伺いしますが、ザ・スパイダースのメンバーは解散後も音楽を続けた人とやらなくなった人もいて、色々な才能が集まった面白さがありましたね。

本城:でも、リーダーの田辺昭知以外は結局音楽をやったんじゃないですか?

田家:タレントになった方もこうして曲を残したというのが次の曲の例ですね。本日最後の曲です。

Rolling Stone Japan 編集部

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