日本最初のバンドブームとなったGS仕掛け人・本城和治とともに振り返る



田家:19683月発売、ザ・テンプターズの「神様お願い」。これも詞曲が松崎由治さんで、シングルチャート2位になりました。

本城:変わったイントロですよね。このイントロをどうしたらいいか彼はなかなか思いつかなくて、自宅近くカエルが鳴いている夜中の田んぼにギター持ち出して。たまたまじゃらんと鳴らしたら、あ、これがいいんじゃないかなって。

田家:ちょっとインド風な感じですよね。

本城:とてもプロでは考えられないもので、スタジオで聴かせたら面白いんじゃない? ってことで。神秘的な感じもするし、これでいこうってことになったんです。ザ・タイガースをやってたすぎやまこういちさんが「あのイントロは信じられない、音楽家には考えられない」って言ってましたよ。

田家:それはビートルズにも通じたんでしょうね。松本隆さんが日本で唯一影響を受けたドラマーが、ザ・テンプターズの大口さんだって言ってました。これもこの間知りました。どんな音楽に影響されたのか、洋楽の話はするけど、邦楽にことはあまり言わない人が多いですよね。GSが変えたことで言うと、ここで台頭してきた新しい作曲家がたくさんいらっしゃった。ザ・タイガースのすぎやまこういちさん、ザ・ジャガーズの筒美京平さん、ザ・ゴールデン・カップスの鈴木邦彦さん、ザ・テンプターズは村井邦彦さんのイメージもありました。GSはなぜそういう場所になっていたんでしょうね?

本城:新しい時代の音楽だったんで、それまでの作家だとエレキギター中心の音楽って作りづらいですよね。やっぱりビートルズ世代じゃないと。そういう世代でなぜ作家が生まれてこなかったのかというと、旧態依然としたレコード会社の専属制度の弊害もあったかと思うんですよ。それでGSという文化ができた時に、なかなかそういう作家が出てこない。グループ内にも作家がいなかったバンドも多かったでしょうし。

田家:それなのに人気の方が先に出てしまった、時代に業界が先を追い越されたという現象でしょうね。それでは本日10曲目、テンプターズ初の1位の曲「エメラルドの伝説」。

Rolling Stone Japan 編集部

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