Emerald・中野陽介と手島将彦が語る、音楽家として追求する「心豊かでいるための音楽」

中野:なるほど。僕もちょっとずつ出せるようになってきたんですよ。僕が幸せに生きるために日々思ってることとか、色々な気持ちの切り替え方とか含めて強くなったなって。そういうのを発信する切り口を開拓しているっていう感じですね。SNSには、レジスタンス的な感じで同じことに気づいてたり、同じようなものの見方が重なる瞬間を共有してるような気持ちになったりしますね。僕のまわりは、30手前の若い子って結構病んじゃう子が多くて。絶えずSNSでのいいねを集め続けて人から注目されつづけなくてはいけない状況の中で、自分をコンテンツ化しちゃうじゃないですか。だんだん切り売りしていくものの内容もエグくなっていって、自分のコンプレックスに切り込んでいった結果、空洞化していくんですよね。

手島:これは僕の勝手なイメージなんですけど、例えばある人が今持っているものが、ある大きさの塊で存在するとして、その人の成長スピードでその塊が大きくなっていく分には中身が詰まったしっかりとした塊なんです。だけど、急いで大きく見せようとすると膨らませるので空洞部分ができてしまう。そうすればするほど空洞も大きくなっていく。場合によっては割れてしまう。もしくは大きく見せようとして積み木みたいに自分に盛って重ねていくと、やりすぎると崩れて事故が起きるんですよ。人間の現時点での総合力みたいなものはすぐには変わらないし、それぞれの成長スピードはバラバラですから、その中でやりくりしていこうよ、というイメージですよね。

中野:そういう話はアーティストから相談受けた時にもするんですか?

手島:特に最近は意識的に若い人にはするようにしてますね。若いうちに、早いうちにバーンと世の中に出ていきたいとか、アイドルとして活躍したいとか色々あると思うんです。少しくらいは焦ってもいいけど焦りすぎないでほしいですよね。

Rolling Stone Japan 編集部

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